「生理に詳しすぎるおじさん」役を彼以上にうまく演じる人はいない…『おっパン』が映画化の原田泰造に「令和のおじさん」役が託される"必然"
あるとき幸男は“生理に詳しすぎるおじさん”としてSNSでバズって思いがけず有名人になり、情報番組にコメンテーターとして出演することになる。ところが生放送中に「娘の生理周期を完璧に把握している」と発言したことで大炎上。
生理に理解のある男性としてお茶の間の支持を得ていた幸男は、一気に世間からバッシングを受け、娘も学校で気まずい思いをすることに。家族を思う気持ちは強いが、どこか鈍感で空回りしてしまう――そんな原田の父親像はここでも共通だ。

『おっパン』では世代間ギャップが一因となって息子との溝が生まれ、『生理のおじさん』では性差による捉え方の違いが娘とのすれ違いを招いた。価値観が多様化している今、ホームドラマにおいても親子の衝突は複雑な繊細さを含むものとして描かれるようになっている。
令和のホームドラマになじむ、柔和な存在感
そんな中で、原田のように柔らかな空気感をまとう俳優に父親役が託されるのには頷ける。原田が父を演じる家族には前提の信頼関係が見え、親子で言い合っていても子どもの側が抑圧されて映らないような安心感がある。繊細なバランスが必要とされる対話においても、その存在が自然にフィットするのだ。
単なる優しいお父さんではなく、持ち前のユーモアで演じる“やや残念な父”の絶妙さは唯一無二である。たとえば役で子どもに怒られているときの表情には、微かな哀愁が漂っていて、まじめなシーンにもどこか可笑しみがにじみ出る。お笑いのコントと俳優の芝居を分けて考えていないスタンスのようだが、そういった力みのない演技が役に人間味をもたらしているのかもしれない。
最近では、アニメ『クレヨンしんちゃん』の未来を描く「やかんの麦茶」のショートムービーで実写・野原ひろし役に抜擢されたことも話題になった。世代不問で愛される役のイメージはここでも揺るぎない。
新たな価値観を宿した現代的な作品がハマるが、原田が座長になると気取った作品に見えないところもまた個性である。懐かしさと新しさがどちらも似合う俳優なのだ。代表作の一つとなった『サ道』シリーズで、タオル一枚でたたずむ姿を見ていてもそう思う。近隣住民が集う昔ながらのサウナにも、モダンでホテルライクな新しいサウナにも、すっと溶け込むのが原田泰造である。
ネプチューンを結成して今年で32年、俳優としての代表作もまだまだ増えていくに違いない。

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