「生理に詳しすぎるおじさん」役を彼以上にうまく演じる人はいない…『おっパン』が映画化の原田泰造に「令和のおじさん」役が託される"必然"
あるとき誠は、部屋に引きこもりがちな高校生の長男・翔(城桧吏)が可愛くメイクした姿を目にして衝撃を受ける。
その場にいた翔の友人で大学生の大地(中島颯太)がゲイだと知って、勢いのまま「君と一緒にいてゲイがうつったら困る」とも発言してしまう。
翔は嫌悪感をあらわに「お父さんみたいな人には絶対なりたくない」と拒絶。誠は大きなショックを受けるが、家族からの信頼を取り戻すべく、その日を境に自分を“アップデート”しようと決意する。
誠は大地の助けを借りながら、ジェンダー、メンズメイク、2次元、推し活といった多様な価値観や文化に触れ、徐々に考え方を変えていく。最初はなにかと教わることの多い誠だが、しだいに大地と世代の離れた友情を育んでいく展開も爽やかだ。
『おっパン』と同じく、昭和的な価値観を持つ男性を主人公にしたドラマは、『不適切にもほどがある!』(TBS系、2024年)、『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系、2025年)などここ数年で増えている。
中でも『おっパン』は、まじめさとユーモアをバランスよく両立させた作品だった。この「まじめ」と「ユーモア」を主人公として器用に、とりわけ魅力的に演じたのが原田である。
主人公の沖田は、冒頭こそコンプライアンスを気にしない“昭和のおじさん”的な発言が目立つが、根は情に厚くきまじめな性格。“アップデート”を心に決めてからは、デリカシーのなさで人を傷つけたと気づくとすぐ猛省するなど、実直でひたむきな姿が原田のイメージと重なる。
知らない若者文化に右往左往するコミカルな演技もチャーミングで、役と原田自身の親和性が高く、調和していたように感じる。

『生理のおじさん』で見せた先進的な父親像
そんな“頑張る父・原田泰造”が活躍するホームドラマといえば、『生理のおじさんとその娘』(NHK総合、2023年)での先進的な父親役も思い浮かぶ。
原田が演じたのは、生理用品メーカーで広報としてはたらくシングルファーザー、光橋幸男。光橋家では子どもの健康をサポートするため、高校生の娘の生理周期を家庭内でオープンにしているという設定だった(ちなみにそこは娘公認である)。
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