とはいえ、タイのEV市場の規模はまだ小さい。そこに多数の中国メーカーが殺到したため、中国勢同士の価格競争が早くも過熱している。
前出のオートライフ・タイランドのデータによれば、タイ市場で2024年に最もよく売れたEVはBYDのコンパクトカー「ドルフィン」だ。この車種は2023年のバンコクモーターショーでタイ市場にお披露目され、当初の価格は79万9900バーツ(約356万円)からだった。だが、2年後の現在は56万9900バーツ(約253万円)からと3割近くも値下げされた。
生産コストは中国の2割高
BYDだけではない。中国メーカー各社が競って値下げに走った結果、タイのEV市場はすでに(赤字販売が常態化した)「レッドオーシャン」の様相を呈しつつある。

タイに進出した中国メーカーの中でも、上海汽車集団、長城汽車、BYD、広州汽車集団、長安汽車、奇瑞汽車などは、すでに現地に完成車工場を構えている。現地生産車の販売を増やすには大幅値引きが避けらない一方、採算を重視すれば在庫がたまるばかりだ。

一部の中国メーカーは、現地生産したクルマをタイ国外に輸出することを検討している。だが、それは必ずしも現実的ではない。財新記者の取材に応じた上海汽車集団の関係者は、次のように打ち明けた。
「タイで自動車を生産するコストは、中国よりも2割高い。それでもなお輸出するメリットは判然としない」
(財新記者:文思敏、余聡)
※原文の配信は3月28日
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