タイEV市場、中国勢席巻で「レッドオーシャン」化 BYDはベストセラー車の価格を2年で3割値下げ

✎ 1〜 ✎ 310 ✎ 311 ✎ 312 ✎ 313
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

とはいえ、タイのEV市場の規模はまだ小さい。そこに多数の中国メーカーが殺到したため、中国勢同士の価格競争が早くも過熱している。

前出のオートライフ・タイランドのデータによれば、タイ市場で2024年に最もよく売れたEVはBYDのコンパクトカー「ドルフィン」だ。この車種は2023年のバンコクモーターショーでタイ市場にお披露目され、当初の価格は79万9900バーツ(約356万円)からだった。だが、2年後の現在は56万9900バーツ(約253万円)からと3割近くも値下げされた。

生産コストは中国の2割高

BYDだけではない。中国メーカー各社が競って値下げに走った結果、タイのEV市場はすでに(赤字販売が常態化した)「レッドオーシャン」の様相を呈しつつある。

中国メーカーのタイ工場は、中国本国よりも生産コストが高い。写真は上海汽車集団が「MG」ブランドの自動車を現地生産するタイの工場(MGブランドのウェブサイトより)

タイに進出した中国メーカーの中でも、上海汽車集団、長城汽車、BYD、広州汽車集団、長安汽車、奇瑞汽車などは、すでに現地に完成車工場を構えている。現地生産車の販売を増やすには大幅値引きが避けらない一方、採算を重視すれば在庫がたまるばかりだ。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

一部の中国メーカーは、現地生産したクルマをタイ国外に輸出することを検討している。だが、それは必ずしも現実的ではない。財新記者の取材に応じた上海汽車集団の関係者は、次のように打ち明けた。

「タイで自動車を生産するコストは、中国よりも2割高い。それでもなお輸出するメリットは判然としない」

(財新記者:文思敏、余聡)
※原文の配信は3月28日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事