スシローと丸亀製麺が増やしている「揚げたてを一つずつ出す天ぷら店」。その違いと、高級店気分を千円台で味わう体験型消費の”凄さ”
福岡では有名な天ぷら定食の店で、やはり揚げたて天ぷらを一つずつ置いていくスタイル。
同店では定食にいかの塩辛が付くことも特徴で、現在は一人一皿のみだが、以前は食べ放題だった。「まきの」にもいかの塩辛が卓上にあり、こちらは食べ放題だった。ちなみに「あおぞら」は高菜明太子が卓上にあり食べ放題だった。


「ひらお」が長い間、福岡市民に愛されている最大の要因は、この揚げたての天ぷらを一つひとつ置かれていく体験だろう。この体験は多くの人を魅了しうるポイントだ。「まきの」も「あおぞら」もそこに着目し、インスパイアされたということか。飲食店の仁義なき戦いに舌を巻いた。
効率化と体験重視のいいとこどり
昨今、チェーン店では配膳ロボットも登場する中で、人間が天ぷらを一つずつ置いていくという極めて非効率なスタイルは時代に逆行している。言うならば、配膳ロボのみならずモバイルオーダーやセルフレジなどあらゆるものが自動化される中で人間による接客の価値が相対的に上がっているということだ。
「あおぞら」でスタッフが「私の個人的なおすすめは……」と言ったのも、「人にしかできない接客」を重視しているからなのかもしれない。
昨今、飲食店は二極化している。DXで効率化する安価な店と、人にしかできない接客や技術で特別な体験が味わえる店に分かれている傾向がある。前者はチェーン店、後者は腕利きシェフのいる高級レストランや、名物ママがいるスナックなどの個人店だ。「まきの」や「あおぞら」が挑戦しているのは、両者のいいとこどりだ。
チェーン店として効率化し安価な価格を維持しつつも、飲食店でしか味わえない体験価値を提供する。実際に「あおぞら」では水やお茶がセルフだったり、最後の会計はセルフレジだったりと、力を入れるところは入れ、抜くところは抜いてサービスにメリハリがついている。これからチェーン店は効率化に走るだけでなく、このいいとこどりスタイルもひとつのロールモデルになるかもしれない。
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