『おしっこちょっぴりもれたろう』などで知られるヨシタケシンスケさんが”理屈っぽい絵本”と“気軽な絵本”どっちも作る意外な理由

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──絵本作家のヨシタケさんはやはり、ビジュアル的なあるあるに敏感なんですね。

たしかにどういった仕草や表情に、人間らしさが出てくるのかに関心がありますね。ちなみに僕は絵と言葉で記録してますけど、言葉だけでもいいし、写真を撮るのでもいい。録音するとか、俳句でもいいかもしれません。記録するメディアによっても、拾えるおもしろさの種類って変わるんですよ。僕は、微妙なニュアンスで面白い髪型になってるおじちゃんを見ると、すごく悔しくなります。

──なぜですか。

そのおもしろさを絵にしようとすると、嘘が混じるからです。絵っていくらでも誇張できちゃうんで、嘘のおもしろさになってしまう。微妙に面白い髪型みたいなのは、写真に撮るのが一番いいんです。絵と言葉で世の中を記録しようとすると、逆に絵と言葉に向いてないおもしろさに気づかされて、そのたびに「あれは僕の担当案件じゃない、チクショウ!」ってなります(笑)。

──「担当案件」っておもしろいですね。

俳句だったら五・七・五という形式に圧縮することで輝く風景があるだろうし、ギターならギターの音色でしか表せない情緒があるはずですよね。

特定のメディアを通して世界を見ていると、今まで見えてこなかったものが見えてくる。同時に、違うメディアを使って世界のおもしろさをキャプチャする人へのリスペクトも芽生えます。自分に残せないものは、この人たちが残してくれてるんだと思えるから。

絵本のラフ
絵本のラフも展覧会で見ることができる(撮影:梅谷秀司)

自分が「何担当」か知れば幸せが近づく

──みんなで協力して世界のおもしろさを記録している。

そうですね。自分が何担当なのか気づけると、幸せに近づく気がします。ここさえ守っておけば、あとは他の人がやってくれるだろうと信じられるといいますか。

人間は、自分の得意を差し出して、お互いの短所を補い合いながら生きている。自分はこの分野なら人を助けられると思えれば、他の人から提供してもらうハードルも下がる。世界のおもしろさを記録するっていうことさえできていれば、上手である必要もないですしね。

世の中にあるもののうち記憶に残るものはほんの1%だと思うんです。だからみんなで残りの99%をできるだけ多く記録できたらいいのになって思います。

手帳
愛用のミニ6穴サイズの手帳。絵本作家になる前から20年以上、思いついたことなどをスケッチしている(撮影:梅谷秀司)
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