国家によるグローバル化から都市・地域でのグローバル化こそ日本経済復興のカギとなる

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さて、勃興するアジアだが、アジアの発展は中国に限定されるわけではない。それぞれの地域で、相互に支え合いながら全体的に経済成長している。しかもその1人当たりの所得においてその上位に君臨するシンガポールや香港などは国民国家ではない。まさに中世の都市国家の繁栄に近いものがある。

そして飛び地のように広がるそれぞれの国の都市も急激に発展している。アジアにおける発展は、19世紀のヨーロッパで起こった国民国家同士の競争による全体的上昇とは違った、都市同志の競争による上昇ともいえる。それは、18世紀以前の海を通じたアジアの環としての経済発展といっていいかもしれない。

アジアの時代となるか

国民国家の歴史は浅い。英仏に生まれた国民国家の歴史はまだ5世紀しか経っていない。地中海にしろインド洋にしろ、東シナ海にしろ、経済発展は国家とは隔絶した都市で発展していったともいえる。

言い換えれば、経済発展の歴史は、大帝国の安寧の陰に隠れた、巨大な貿易圏がつくりあげた広域国家の都市の発展だったともいえる。

その意味で、今のアジアの発展も国家を中心とした発展であるというのではなく、相互に補完し合う地域経済圏、すなわち都市の発展であるといっていいかもしれない。

そうであるならば、今のアジアの経済発展は、大きな相互補完的な経済圏がつくりだされたことによる、国家を超えた自由な貿易によって生まれた組織によって相互に発展したのだといえなくもない。

だからこそ、21世紀は、再び第2の地中海であるアジアの時代といえるのかもしれない。18世紀以前のアジア的経済発展の復活の時代なのだ。グローバル化が国家を通じたグローバル化であったのに対し、都市を通じたグローバル化が起こりつつあるといえる。そうなるとこれまでの国民国家による枠組みは次第に時代に合わなくなってきているともいえる。

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