トヨタ労組が春闘要求を提出、ベア要求は見送り賞与要求も引き下げ

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トヨタ労組が春闘要求を提出、ベア要求は見送り賞与要求も引き下げ

トヨタ自動車労働組合は15日午前、今年の春闘での要求を会社側に提出した。ベースアップ要求は3年連続で見送り、定期昇給にあたる「賃金制度維持分」(組合員平均で7300円)の確保を目指す。賞与については、年間で基準内賃金(34万8320円)の5カ月分+3万円(約177万円)を要求。昨年の5カ月分+7万円(181万円)より引き下げた。

トヨタ労組の賞与要求方式は基礎部分の5カ月に、業績反映部分と業績には表れない組合員のがんばりを反映させる総合加算部分を上乗せした三階建てとなっている。

業績反映部分は、トヨタの本業への組合員の貢献分として、単体の営業黒字1000億円あたり5万円を加算(赤字の場合は減算)する。また、国内外のグループ各社への貢献や本業を支える活動への貢献分として、単独の営業外損益も1000億円あたり5万円を加算する(同)仕組みだ。

トヨタが2月9日に第3四半期決算を発表した時点では単独営業利益の予想は4900億円の赤字、営業外損益は3700円の黒字とされた。今回の要求では、12月時点での業績予想で示された単体営業赤字5300億円ベースとなっている(営業外損益の予想は変わらず)。12月時点の業績予想で組合内でのコンセンサスを積み上げたため、更新前のベースで要求することを選んだ模様だ。その結果、営業損益反映分で26.5万円のマイナス、営業外損益反映分で18.5万円のプラスに。「がんばり」分の総合加算部分は11万円とし、「5カ月+3万円」の要求となった。

トヨタで人事・総務を所管する宮崎直樹常務役員と石井直生人事部長は、要求受領後に報道陣の取材に応じた。賞与の要求水準に関しては、「5カ月を超える要求に応えることは、とうてい困難と言わざるをえない」(石井部長)と厳しい見方を示した。宮崎常務役員は東日本大震災やタイ洪水からの復旧への組合員の協力を評価しつつ、要求水準については「しっかり議論していきたい。4カ月を基準とする業界が多いのも事実だ」と組合を牽制した。

賃金制度の維持については、「東日本大震災やタイの洪水が業績の足かせとなっている。極めて慎重な判断が必要」(石井部長)との認識を示した。宮崎常務役員は現在の賃金制度が採用されたのが2004年であることに言及し、「60歳以降の雇用を含めて環境が変わった」とコメント。今国会で60歳以降の雇用に関する法令改正案が審議されることも視野に、春闘交渉の妥結後に賃金制度見直しを組合と話し合う可能性について示唆した。
(撮影:今井康一 =東洋経済オンライン)

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西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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