「財源は罰金?」中国地方政府"ご乱心ぶり"の根因 財政難で、あくらつな罰金徴収が広がっている

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しかし、その内実を見ると、融資プラットフォームによる銀行借入や債券発行の拡大が相当の規模を占めており、中央・地方財政の赤字はそれほど拡大しなかった。財政における収入と支出をバランスさせ、赤字拡大を忌避する立場を均衡財政主義と言うが、中国政府は一貫して均衡財政主義を堅持してきた。その背景には「地方分権的な財政制度」がある。

地方政府の財政難、その構造的背景

まず、「地方分権的な財政制度」について取りあげよう。「総書記をトップとした中央集権国家」が一般的な中国のイメージだろうが、財政制度はきわめて地方分権的であることは、研究者の間ではほぼ常識となっている。中国と同じく非先進国の大国である、インドとロシアの財政制度と比較するとよく分かる。

図は、中国・ロシア・インド3カ国における国家財政に占める中央政府の比重を比較したものである。2014年以降に焦点を当てると、次の2点を指摘できる。

図
(出所:『ピークアウトする中国 「殺到する経済」と「合理的バブル」の限界』より)

第一に、中央政府の比重は歳入・歳出ともにロシアが最も大きく、最も中央集権的であるということだ。原油、天然ガスの輸出が歳入に直結していることや、2012年以降は国防費の増加の影響があると思われる。ロシアには及ばないものの、インドがこれに続く。

一方で中国はきわめて特殊だ。まず歳出だが、2010年代は20%以下にまで下落している。逆に言うと、全体の歳出のうち約80%は地方政府が担っている。中央政府の比重が60%近いロシア、40%前後のインドと比べると差は歴然だ。歳出から見れば、中国は3カ国の中で最も地方分権的である。

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