「財源は罰金?」中国地方政府"ご乱心ぶり"の根因 財政難で、あくらつな罰金徴収が広がっている

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財政難を解決するため、区政府資産の売却を担当する目的で立ち上げられたようだが、砸鍋賣鐵班という赤裸々なネーミングで話題となった。ここまであっけらかんと貧乏をひけらかす事例こそ少ないものの、同様の政府資産売却は多くの自治体で取り組まれているという。

「空を売り飛ばした地方政府」という、もっとあくどい事例もある。

山東省済南市平陰県は「今後30年間の低空経済独占経営権」を9億2400万元(約196億円)で売却した。低空経済とは主に高度1000メートル以下の空域で、ドローンやeVTOL(電動飛行の小型有人機)を活用する産業を意味する。2024年は低空経済元年と呼ばれ、注目のビジネス分野となっていた。

とはいえ、今後どれだけの利益を生むかは未知数。山東省の田舎の空がこの金額に見合った価値とは考えづらい。実は、流行を使った地方政府の資金調達だったとみられている。経営権を落札した企業は県政府の100%出資で設立された国有企業だった。

県政府は自分の金で自分の空を買ったことになる。この企業が空の経営権を担保に銀行融資を受けたり、社債を発行して資金調達することが本当の狙いだったようだ。「田舎県、空を売る悪徳スキームを発明」という面白すぎるネタがバズりまくったせいで、資金調達前に頓挫してしまったようだが……。

中国の中央財政は財源を出し渋ってきた

他にも「地方の税務局、30年前の税金を取り立て」やら、「地元企業を痛めつけないよう、他の自治体にまで出張。違反金を取り立てる遠洋漁業式罰金徴収」など、地方政府のあくらつな罰金徴収が広がっている。

笑えるニュースとして消化するだけではなく、この異常事態が何に起因しているのかを考えてみたい。根本的な問題は地方政府に十分な財源が与えられていないことにある。

中国の中央財政は昔から一貫して赤字の拡大には慎重で、財源を出し渋ってきたという経緯がある。一例として、リーマンショック後の4兆元対策を挙げよう。世界的な経済危機に対し、中国政府は巨額の景気対策を打ち出したとアピールした。

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