「財源は罰金?」中国地方政府"ご乱心ぶり"の根因 財政難で、あくらつな罰金徴収が広がっている

現在の中国における地方政府の緊縮的行動は経済を支えるどころか、民間部門からさらに資金を吸い上げ、景気をより悪化させるものだ(写真:Gengorou/PIXTA)
今、中国で何が起こっているのか。
過去20年にわたって、世界経済を牽引する存在だった中国経済。特に日本経済にとって、中国は製造拠点としても市場としてもきわめて重要な存在でした。しかし、不動産価格の低迷によって顕在化されてきた、中国経済の悪化。市民の中で不満や閉塞感が広がってきています。
とはいえ、一筋縄ではいかないのが中国経済。電気自動車(EV)や太陽光パネル、リチウムイオン電池は「新三様(新三大輸出製品)」と呼ばれ、ヨーロッパをはじめとする世界市場を席巻しつつあります。
日本経済にも大きく影響する中国経済を「表面的なトピックではなく、複雑でわかりにくい話であっても、現在の混乱をもたらしている本質的な問題とは何かを、論理的な整合性を持って理解することは不可欠だ」と、『ピークアウトする中国 「殺到する経済」と「合理的バブル」の限界』を執筆した梶谷懐氏と高口康太氏は話します。
本記事は、同書より一部を抜粋、加筆・編集してお届けします。
あっけらかんと貧乏をひけらかす
中国地方政府が深刻な財政難に陥っている。どうにか資金を集めようと、奇妙な行動まで見られるようになった。
昨年8月、重慶市璧山区政府が「砸鍋賣鐵」(ザーグゥオマイティエ)班という、新たな課を立ち上げたことが話題となった。「砸鍋賣鐵」は直訳すれば「鍋を潰して鉄くずにして売る」という意味、転じてありったけの財産を投げ出すという熟語となる。
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