横浜市消防局「フジに撮影協力」続行が英断のワケ 月9「119エマージェンシーコール」への協力が賛否

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あらためて振り返ると、ドラマ「119エマージェンシーコール」はスタートから不運に見舞われました。

まず第1話が放送された1月13日21時19分ごろに宮崎県で最大震度5弱の地震が発生。津波注意報が発令される中、ドラマは中断されてしまいました。次に第3話が予定されていた1月27日にフジテレビが緊急会見を行い、生中継を続けたため急きょ放送休止が決定。

連続ドラマは視聴者をつかんで継続視聴してもらうために第1~3話が大切なだけに、制作サイドにとっては辛い状況が続きました。

さらに制作サイドは「横浜市と横浜市消防局の協力が得られなくなるかもしれない」という最大の危機を迎え、1月23日のフジテレビ社員説明会ではスタッフが社長に訴えかけていました。

横浜市消防局
「リアルな姿が描かれている」と公式Xに綴った横浜市消防局(画像:同局公式Xより)

「1分レベルの手間」を惜しまない姿勢

ただ、2月10日放送の第4話がネット上で称賛を集めたことで、「これらの苦境を抜け出せたのではないか」というムードが生まれています。

その第4話で称賛を集めたのは、「指令管制員・与呉心之介(一ノ瀬颯)が心肺停止の高齢者を救うべく、家族に声をかけ続ける」という緊迫感あふれるシーン。8分30秒を超える一ノ瀬さんらの熱演に、今冬ドラマで最高レベルのポジティブな記事が飛び交いました。

さらに各記事のコメント欄には「フジテレビに問題はあるけど、このドラマはいい」「横浜市の判断は正しい」というニュアンスの声が目立っています。

横浜市消防局のXには、「興味深いドラマなので最後まで見たいです。風評に振り回されず、最後までご協力お願いします」というシンプルなコメントもありました。

ネットのようなオープンスペースにはネガティブなコメントが書き込まれやすい一方、ポジティブなものは心の中で思っておしまいという人が少なくありません。よりフェアな社会にしていくためには、上記のコメントをした人のような“1分レベルのひと手間”を惜しまない姿勢が必要ではないでしょうか。

両者がそろってこそ建設的な議論が交わせる場であり、健全な社会に見えます。今回でいえば、横浜市と横浜市消防局がドラマ「119エマージェンシーコール」に協力することでどんなメリットとデメリットがあるのか。

ネット上においてもきちんと両者を並べて考えられる状態を作ることで、過剰な“排除ムード”に覆われて生きづらさを感じさせる社会を変えていきたいところです。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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