横浜市消防局「フジに撮影協力」続行が英断のワケ 月9「119エマージェンシーコール」への協力が賛否

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ネガティブな声が「フジテレビのドラマ=中止」という即断のようなものであり、作品にかかわることなどそれ以上の理由が書かれていない一方、ポジティブな声には具体的な理由が書かれていました。しかもその理由は横浜市消防局が撮影協力する目的そのものだったのです。

横浜市消防局
横浜市消防局の公式Xでは、今も固定欄でドラマをPRしている(画像:同局公式Xより)

消防局が撮影協力する「3つの目的」

横浜市消防局が撮影協力する主な目的は以下の3つ。

1つ目の目的は、消防の理解を進めること。視聴者はドラマを通して、消防の仕組み、119番のかけ方、すぐに消防車や救急車を送り出せないさまざまな事情などを知ることができます。

ドラマは、消防士だけでなく医師、刑事なども含め、劇的なシーンを作るために動きのある職種を扱いがちな中、消防指令センターの舞台は屋内。指令管制員は外に出ず、声を使って仕事するため、あまり動きがありません。

日ごろ表に出ない人々ですが、「人命を左右する」という難しさでは消防士に匹敵することも含め、今作で市民の理解を一歩進められそうな感があります。

2つ目の目的は、横浜市だけでなく全国的な好影響が期待できること。今回はフジテレビの騒動があったため協力先の横浜市にスポットが当たっていますが、そのコンセプトは消防全体にかかわる作品でしょう。

ドラマを見てもらえたら全国の消防局に好影響が期待できるし、ひいては各地の安全につながっていく可能性がある。もし横浜市消防局がネガティブな声を重視して協力をやめたら、全国の消防にかかわる人々を失望させてしまうかもしれない。

今作からは現場の再現にディテールまでこだわって撮影している様子がうかがえますし、少なからず「今回は全国の消防局を代表して撮影協力している」という意識があるのではないでしょうか。

3つ目の目的は、ドラマが市民の安全につながること。劇中では指令管制員たちが救急車到着までの処置方法を伝え、励ましの声をかける様子などが描かれています。

また、119番通報者が説明不足だったり、パニックに陥ったりする姿を見ることで、「できるだけ落ち着く」「状況を手短に話す」など伝える側の心構えを知ることもポイントでしょう。

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