横浜市消防局「フジに撮影協力」続行が英断のワケ 月9「119エマージェンシーコール」への協力が賛否
さらに「自力で病院に行ける人や緊急性のない問い合わせ、人生相談や孤独の解消、いたずらなどの入電がいかに無駄か」という抑制も期待できるのもメリットの1つ。いつ誰もが119番通報者や要救助者になる可能性があるだけに、自他の安全性を高めるという点での効果が期待できます。
“表に出ない現役”のモチベーションアップに
撮影協力するメリットはまだまだあります。
横浜市消防局は制作サイドに、現場の説明や演技指導、消防車両や制服の貸与などをしているそうですが、特に過剰な税金を使っているようなところはありません。逆に、前述したような消防局への理解が進むほか、「業務効率化されて経費削減や負担軽減につながる」などのメリットが考えられます。
フジテレビがほとんどのCM収入を得られていない現状では、撮影協力したところで同社の利益に直結することは少なく、むしろ市や消防局の利益になることのほうが多いのではないでしょうか。
さらに子どもたちへの影響もメリットの1つ。もともと消防士や救急隊員は幼児に人気があるほか、ふだん見ている消防車や救急車が登場する物語への単純な興味があり、ネット上には「家族で見ている」「子どもが真剣に見ている」などの声が見られます。
「消防士だけでなく指令管制員というヒーローもいる」という気づき、119番通報の仕組みや重要性などを知る学びも得られるだけに、今作がきっかけで消防士だけでなく「指令管制員になりたい」という子どもが誕生するのではないでしょうか。そんな次世代の人材発掘という点でも番組の存在意義を感じさせられます。
さらに子どもだけでなく、銀行勤務から転職した主人公・粕原雪(清野菜名)のように大人の志望者が増えるかもしれません。もちろんその存在をあまり知られず、感謝の言葉をもらうことが少ない現役指令管制員たちのモチベーションアップも期待できるでしょう。
これら多くのメリットがあり、デメリットが少ないことを踏まえると、横浜市と横浜市消防局の選択は英断といっていいのではないでしょうか。
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