中国の太陽光パネル「利益なき繁忙」の手詰まり 大手の隆基緑能科技が12年ぶり通期赤字に転落

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中国の太陽光パネル業界が直面する苦況は過当競争だけではない。海外市場では、中国メーカーの赤字輸出に対する反発が強まっている。

例えばアメリカ政府は、12年前の2012年に中国製の太陽光パネルに対する反ダンピング・反補助金措置を発動した。

それを回避するため、中国の太陽光パネルメーカーは東南アジアにこぞって工場を建設。中国製の原材料や太陽電池セルを東南アジアで製品に組み立て、アメリカに輸出する対応をとった。

東南アジアを経由した中国メーカーの迂回輸出は、アメリカの新政策で機能しなくなった。写真は隆基緑能科技のマレーシア工場(同社ウェブサイトより)

この迂回戦術は近年まで機能していた。しかし2024年5月、アメリカ政府は東南アジアのカンボジア、マレーシア、タイ、ベトナムで生産された太陽光パネルに対する反ダンピング・反補助金調査を開始し、同年12月に措置発動に踏み切った。

その結果、中国メーカーの多数の工場が操業停止や閉鎖に追い込まれた。そこには隆基緑能科技のマレーシアとベトナムの工場も含まれている。

海外市場でもリスク拡大

中国メーカーにとって、アメリカ市場の高い利益率には代えがたい魅力がある。業界大手はアメリカに工場を建設し、現地生産への移行を進めている。隆基緑能科技の開示資料によれば、同社のアメリカ工場はすでに2024年1~3月期に生産を開始し、損益が早くも黒字化したという。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

しかし(アメリカを含む)海外生産のさらなる拡大について、隆基緑能科技は慎重な姿勢を見せている。

「海外事業の推進に際しては、現地の政策や法律、市場規模などさまざまな要素を考慮すると同時に、中長期的な視点から潜在的なチャンスとリスクをしっかり分析・評価しなければならない」

同社の経営陣は前述の投資家向け説明会でそう述べ、(第2次トランプ政権発足の影響など)不透明な先行きへの懸念を示した。

(財新記者:趙煊)
※原文の配信は1月17日

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