ギングリッチ復活は米有権者の「憤り」の表れ【米大統領選・専門家の見方】
次に控えるフロリダ州の予備選挙(1月31日)では、ギングリッチ氏の勢いを止められるかどうかのみならず、ロムニー氏が「金持ち」イメージの問題にいかに対処できるかが重要なポイントになる。
既存権力に対する「反逆者」のイメージで再浮上したギングリッチ氏
「体制派」のロムニー氏に対し、ギングリッチ氏は「反逆者」のイメージで再浮上した。中央の既存権力(エスタブリッシュメント)に対する有権者の憤りを上手くすくい上げた格好。
論点に浮上したギングリッチ氏の過去の不倫問題についても、「個人攻撃で候補者を潰そうとする動き」という大手メディア批判で反撃。逆にエスタブリッシュメント批判との共振を強め、共和党の他の候補が同問題をとりあげることを封印した格好。
ギングリッチ氏は、自らに対する批判をすべて「エスタブリッシュメントの陰謀」として、切って捨てられる環境を作り上げつつある模様。2008年の大統領選挙でオバマ大統領が、どのような批判でも「既存の政治の枠組みから出られない旧態依然の議論」と切って捨てたのと同じような絵柄に接近しつつある。
1994年議会選挙での共和党躍進の立役者であったように、そもそも「反逆者」として有権者の不満をすくい上げる選挙戦術は、ギングリッチ氏の得意とするところ。
予備選の行方はいぜんロムニー有利だが、選挙戦が長期化する可能性も
アイオワ州の勝者がサントラム氏に差し替えられたことで、ここまでの3つの予備選挙はいずれも違う勝者になった。最短ではサウスカロライナ州でロムニー氏の指名獲得が決まるといわれていたが、決着はフロリダ州予備選以降に持ち越された。