石破政権を襲う「2025年の政局」3つのシナリオ 通常国会を乗り切れるか?参院選の行方は?

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参院選の行方を左右するのは、経済情勢と内閣支持率だ。ロシアによるウクライナ侵略以来続いてきた資源・食料価格の高騰が世界的なインフレにつながり、日本国内でも物価高から賃上げにつながった。デフレからの脱却は進んだが、インフレは庶民の生活を直撃。貧富の格差拡大への不満は政権与党への批判に直結し、先の総選挙での自民党惨敗をもたらした。

そうした中で、石破政権が有効な経済対策を打ち出せるのか。2025年度の政府予算では年金や子育てなどの微調整策が盛り込まれているが、国民の将来不安を払拭するような対策は講じられていない。今春も賃上げが続く環境を築き、物価高対策も打ち出し、中長期の成長戦略や財政再建策を明確にする。石破首相にそうした構想力が欠けているのは明らかだ。

経済や外交で支持率を高めるのは容易ではない

外交はどうか。アメリカのトランプ新大統領は1月20日に就任、新政権が動き出す。石破首相は1月中の訪米で日米首脳会談を模索したが、日程調整がつかなかった。トランプ外交の標的は中国だ。高率関税を課すことで中国を揺さぶり、貿易や安全保障で譲歩を引き出そうとしている。

一方で中国は、アメリカとの対立を見据えて日本との関係改善に動き出している。米中の綱引きの中で石破首相がどう対応するのか。防衛相などは歴任したが、本格的な外交経験がない石破氏としては、首相官邸や外務省のスタッフの知恵を借りながら戦略を練ることになる。

経済や外交で支持率を高めるのは容易ではなく、石破政権は低い支持率のまま通常国会や参院選を迎える。国内政局が混乱し、経済の再生は進まず、外交でも手詰まりの状況が続けば、激動の世界の中で日本が取り残されてしまう。2025年の日本政治は岐路に立たされている。

星 浩 政治ジャーナリスト

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ほし ひろし / Hiroshi Hoshi

1955年生まれ。東京大学教養学部卒業。朝日新聞社入社。ワシントン特派員、政治部デスクを経て政治担当編集委員、東京大学特任教授、朝日新聞オピニオン編集長・論説主幹代理。2013年4月から朝日新聞特別編集委員。2016年3月からフリー。同年3月28日からTBS系の報道番組「NEWS23」のメインキャスター・コメンテーターを務める。著書多数。『官房長官 側近の政治学』(朝日選書、2014年)、『絶対に知っておくべき日本と日本人の10大問題』(三笠書房、2011年)、『安倍政権の日本』(朝日新書、2006年)、『自民党幹事長』(ちくま新書)など。

 

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