意向を聞くことは、亡くなったあとの家族の助けにもなります。
家族は、本人が亡くなられたあとも「本当に正しいことをしたのか」「本人の気持ちにそっていたのか」という気持ちにさいなまれます。そういうときに「それでよかったんだ」という気持ちにしてくれるのが、生前のときに聞いていた言葉なのです。
親の意向を聞くときのヒント
話を、親の意向の聞き方に戻しますが、こうした話題は単刀直入には切り込みづらいもの。そこで親の意向を聞くときに参考になりそうなヒントを3つご紹介します。
1つめが、話のフックとして世間の話題を絡めてみること。
具体的には、著名人や芸能人の病気や訃報の話題などにふれ、「もし急にこんなことになったとしたら、何か後悔することってあるかな?」「最期はどんな迎え方がよいとかある?」などと話を振ってみるのです。
こういう遠いテーマだと、あまり深刻にならずにすみます。この際に「私ならこういうふうに過ごしたいかなぁ」などと、自分も気持ちを伝えてみるのもいいかもしれません。
2つめが、「何をやりたいか(やってほしいか)」を聞くよりも「何をやりたくないか(やってほしくないか)」を聞いてみること。例えば「これからの生活をどう過ごしていきたい?」と聞かれるより、「介護を受けるなら、これだけは嫌っていうことある?」と聞かれたほうが、答えやすいものです。
嫌なことを話してくれたら、それがなぜ嫌と思うのかも、ぜひあわせて聞いてみるといいでしょう。
そして3つめは、会話のテンポを親に合わせること。これは会話術というよりも聞き方のテクニックになります。
年齢とともに、耳が遠くなり、理解力が落ちてくるのは、誰しもに訪れる老いの変化です。もし親が何度も聞き返してきたり、質問の意図と違う趣旨のことを話し始めたりしたとしても、怒ったり途中で遮ったりせず、最後まで聞きましょう。相手が自分の話を聞いてくれていると思うと、親も安心して話すことができます。
もちろん、本人の希望はその時々で変わってくるもの。意向は変わって当然だからこそ、繰り返し話していくことが大切です。
(構成:ライター・松岡かすみ)
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