「介護は子がするもの」と主張する親への関わり方 年末年始に親の意向を聞く際のトラブル回避術

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意向を聞くことは、亡くなったあとの家族の助けにもなります。

家族は、本人が亡くなられたあとも「本当に正しいことをしたのか」「本人の気持ちにそっていたのか」という気持ちにさいなまれます。そういうときに「それでよかったんだ」という気持ちにしてくれるのが、生前のときに聞いていた言葉なのです。

親の意向を聞くときのヒント

話を、親の意向の聞き方に戻しますが、こうした話題は単刀直入には切り込みづらいもの。そこで親の意向を聞くときに参考になりそうなヒントを3つご紹介します。

1つめが、話のフックとして世間の話題を絡めてみること。

具体的には、著名人や芸能人の病気や訃報の話題などにふれ、「もし急にこんなことになったとしたら、何か後悔することってあるかな?」「最期はどんな迎え方がよいとかある?」などと話を振ってみるのです。

こういう遠いテーマだと、あまり深刻にならずにすみます。この際に「私ならこういうふうに過ごしたいかなぁ」などと、自分も気持ちを伝えてみるのもいいかもしれません。

2つめが、「何をやりたいか(やってほしいか)」を聞くよりも「何をやりたくないか(やってほしくないか)」を聞いてみること。例えば「これからの生活をどう過ごしていきたい?」と聞かれるより、「介護を受けるなら、これだけは嫌っていうことある?」と聞かれたほうが、答えやすいものです。

嫌なことを話してくれたら、それがなぜ嫌と思うのかも、ぜひあわせて聞いてみるといいでしょう。

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そして3つめは、会話のテンポを親に合わせること。これは会話術というよりも聞き方のテクニックになります。

年齢とともに、耳が遠くなり、理解力が落ちてくるのは、誰しもに訪れる老いの変化です。もし親が何度も聞き返してきたり、質問の意図と違う趣旨のことを話し始めたりしたとしても、怒ったり途中で遮ったりせず、最後まで聞きましょう。相手が自分の話を聞いてくれていると思うと、親も安心して話すことができます。

もちろん、本人の希望はその時々で変わってくるもの。意向は変わって当然だからこそ、繰り返し話していくことが大切です。

(構成:ライター・松岡かすみ)

中村 明澄 向日葵クリニック院長 在宅医療専門医 緩和医療専門医 家庭医療専門医

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なかむら あすみ / Asumi Nakamura

2000年、東京女子医科大学卒業。国立病院機構東京医療センター総合内科、筑波大学附属病院総合診療科を経て、2012年8月より千葉市の在宅医療を担う向日葵ホームクリニックを継承。2017年11月より千葉県八千代市に移転し「向日葵クリニック」として新規開業。訪問看護ステーション「向日葵ナースステーション」・緩和ケアの専門施設「メディカルホームKuKuRu」を併設。病院、特別支援学校、高齢者の福祉施設などで、ミュージカルの上演をしているNPO法人キャトル・リーフも理事長として運営。近著に『在宅医が伝えたい 「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと』(講談社+α新書)。

 

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