原油「混迷の1バレル=50ドル時代」は来るのか 一方で「100ドル突破」のリスクも払拭できず
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原油相場は、年末以降「上下どちらにも大きく値が振れる可能性」をはらんで不安定な相場展開が続くことになりそうだ。
足元では、世界の原油指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の価格が1バレル=70ドル割れとなるなど、やや軟調な展開となっている。
中国の需要低迷とクリーンエネルギーへの移行が重石
これは世界的な景気減速に伴い、石油需要の低迷が続くとの懸念が大きな重石となっていることによる。
国際エネルギー機関(IEA)は11月14日に発表した月報で、2024年の世界石油需要が日量1億0280万バレルと、前年比92万バレル程度の伸びにとどまり、2025年も1億0380万バレルと、前年比約100万の増加になるとの見通しを示した。
新型コロナウイルスの感染爆発による経済の大幅な落ち込みからの回復途上にあった2023年までは、需要も前年比で日量200万バレルを超える大幅な伸びを記録していた。
だが、そうした一時的な特殊要因がなくなり、急速に伸びが鈍っているというのが現状だ。石油輸出国機構(OPEC)の見通しはそこまで悲観的ではなく、2024年は前年から182万バレル、2025年も同154万バレル増加するとしているが、それでもここ4カ月間は連続して下方修正しており、決して楽観的というわけではない。
特に影響が大きいのが、中国の景気の低迷だ。中国政府は相次いで金融緩和などの景気刺激策を打ち出しているが、市場からはことごとく「不十分」との烙印を押され、株価も低迷している。
同国の石油需要は2023年までは前年比100万バレルを大きく上回る伸びを示していたが、その後は急速に伸び悩み、2025年には日量10万~20万バレルの増加しか期待されていないのが現状だ。
一方、アメリカも、足元では個人消費の好調さが支えとなり堅調な経済成長が続いている。だが、製造業に関しては低迷が続いており、これまでFRB(連邦準備制度理事会)が金融引き締め策を維持していたことの影響が、遅れて出てくる可能性も高いとみておいたほうがよい。
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