脱エンジンのホンダ、「EVの加速」阻む厳しい現実 北米でEV販促費1000億円増、エンジン車延命も

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加えて、ボルトを使わない接合技術「3D摩擦攪拌接合(FSW=Friction Stir Welding)」も活用することで電池ケース自体も現状のEVと比較して約6%薄くし、車体の空力性能を向上させる。

開発を進める全固体電池では、固体電解質をロールプレス方式で連続して塗工する(写真:ホンダ)

11月には全固体電池のパイロットラインも初めて公開した。固体電解質層の連続加工を含め独自の生産技術により、性能向上と高効率生産を両立。ホンダが現在EVで採用している液体リチウムイオン電池と比較して航続距離は倍増し、電池の製造コストは25%削減できるという。

電池技術をさらに磨き上げることで、2040年代には航続距離を従来比2.5倍、製造コストを4割削減することを目指すという。ホンダ幹部は「基幹部品は基本的に内製化し、自社でコストコントロールできるようにしたい」と強調する。車体部品や電池の内製化に加えて、量産工程での自動化やデジタル化を進めることで、EVで劇的なコストダウンを図る狙いだ。

将来への布石と足元の現実

EVで稼げるよう努力を続けるのは、苦しくてもEVを諦めるわけにいかないからだ。

欧米では2020年代後半以降温室効果ガスの排出規制がさらに厳しくなる。基準をクリアできなければ多額の罰金を支払う必要に迫られる。規制がなくならなければ、EVを一定以上販売する以外に道はない。

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ただ、足元の事業環境は厳しくなる一方だ。積極的にEV戦略を進めてきたフォルクスワーゲンやフォード、さらにはボッシュやZFといった欧州メガサプライヤーが1000人~1万人単位の人員削減を迫られている。

青山副社長は「EV関連投資は変更するつもりはないが、需要に応じて後ろ倒しなども検討したい」と話す。ライバルが傷を負う様子はホンダにとっても他人事ではない。現実を見据えた戦略が求められている。

横山 隼也 東洋経済 記者

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よこやま じゅんや / Junya Yokoyama

報道部で、トヨタ自動車やホンダなど自動車業界を担当。地方紙などを経て、2020年9月に東洋経済新報社入社。好きなものは、サッカー、サウナ、ビール(大手もクラフトも)。1991年生まれ。

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