脱エンジンのホンダ、「EVの加速」阻む厳しい現実 北米でEV販促費1000億円増、エンジン車延命も

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そもそもEVは希少金属を多く使う電池のコストが高く、多くのメーカーが収益性確保に苦しんでいる。

アメリカのフォード・モーターの同事業は、2024年の第2四半期(7~9月)まで7四半期連続の赤字で、その赤字額も直近の四半期では1000億円以上となっている。EV販売が比較的好調な中国勢でも「EV販売そのもので黒字になっているケースは少ない」(日系大手自動車メーカー幹部)。

しかも、北米や欧州ではEV市場の拡大ペースが鈍化しつつある。価格が高く、航続距離が限られることに加えて、充電時間も長くなりがちなEVが敬遠されていることが背景にある。GMやドイツのフォルクスワーゲンなどがEVの投資計画や販売目標を次々に撤回。販売台数が思ったように伸びない中、固定費は膨らみがちで赤字が拡大する“生みの苦しみ”に直面している。

コスト削減に新技術を導入

こうした厳しい事業環境を認識したうえでホンダは対応策を打ち出している。

10月には、次世代EV商品群「Honda 0(ホンダ ゼロ)」で導入予定の車体技術の新工法「メガキャスト」の設備と生産した部品を報道陣に初めて公開した。メガキャストは、アルミダイキャストと呼ばれる鋳造法で車体部品を一体成型する技術で、ホンダはまず車載電池ケース向けに金型の締め付け力6000トン級の設備を導入。従来は約60部品で構成されていたパーツを5部品で実現することで生産コストの低減が期待できる。

導入予定のアルミ鋳造設備「メガキャスト」で製造された車体部品(筆者撮影)

ダイキャスト部品をめぐっては、より締め付け力が大きく、大型の車体部品を製造できる「ギガキャスト」をテスラが採用している。日本勢でもトヨタ自動車や日産自動車が同様の技術の採用を検討する。ホンダは電池ケースで鋳造技術の知見を蓄積し、将来的には8000トン級前後の設備を使って車体部品にも適用を進める考えだ。

ただ、テスラが導入する超大型の車体部品の開発は見送る方針。ホンダの条件ならば、設備投資や金型費用、生産台数などを含めて独自に算出した車体部品の製造費用ではテスラ級のギガキャストはむしろ約4割コスト高になると分析しているからだという。

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