脱エンジンのホンダ、「EVの加速」阻む厳しい現実 北米でEV販促費1000億円増、エンジン車延命も

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EVを除くホンダブランドのインセンティブは約1100ドル。インセンティブ頼みが経営の重荷となっている日産自動車でも約4500ドル。1万ドルは超高水準だということがわかる。見方を変えれば、プロローグ、ZDXともインセンティブの大盤振る舞いで販売を下支えした結果の台数である。

ホンダが北米に投入した初の量産型EV「プロローグ」。販売は悪くないものの、1割近く値引きされて売られているという(写真:ホンダ)

さらに2車種とも最大7500ドル税額が控除されるアメリカのEV優遇策の対象となっている。「売れている」といっても2車種が本当の意味で消費者に評価されているかは見えにくい。

4輪事業の営業利益率が急悪化

インセンティブは販売促進費の一種であり、利益の圧迫要因となる。

ホンダの2024年4~9月期の4輪事業は、売上高が前年同期比12%増の7兆1305億円、営業利益は同15%減の2580億円と増収減益だった。7~9月期の4輪事業の営業利益率は1.0%と、前年同期の3.8%から急激に悪化した。北米のEV2車種の販売台数がこの間に急増し、インセンティブがかさんだことが背景にあるとみられる。

ホンダは、2025年3月期通期の北米におけるEV販売を7万台弱と見込んでおり、グローバルでは10万台を計画している。期初に比べて台数計画に大きな変動はないが、インセンティブは期初想定より年間で1000億円の上乗せを想定しているという。

「台当たりインセンティブ7000ドル増は予想外だが、まずはしっかりと売っていこうということ。自社開発EVを2026年から展開していくのでここにつなぐべく、販売モーメンタムをあげていくのが基本的な考え方だ」(青山副社長)

インセンティブの積極投入は短期業績の足を引っ張ることになるが、EVの台数積み上げを優先する方針だ。

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