ディズニー幹部が宣言「日本の独自作品を増やす」 競争激化の日本へ投資、長期でトップ級目指す
――ディズニーにとって、なぜ地域の独自コンテンツが必要なのですか?
ルーク メディアごとの動向を見てほしい。映画は成熟した市場だが、日本では一般的に6割がローカルコンテンツ(邦画)で、4割が海外のコンテンツ(洋画)。邦画ファン、洋画ファンが固定化されている面もある。われわれもこうした構造に合わせて、事業を進化させてきた。
一方でテレビは、地上波とBS、CSを合わせて、9:1でローカルコンテンツが多い。規制によるところもあるが、テレビに消費者が求めるものは映画のようなイベントベースのものではなく、日常の結びつきだといえる。
動画配信も継続した結びつきが重要なメディアで、コンテンツの多様性・バラエティが必要になる。そうした消費者の需要に応えるために、地域の独自コンテンツは欠かせない。
特にアジア地域は、ローカルのコンテンツを観たいという需要がほかの地域より強い。北アジアでも東南アジアでもそのような傾向がみられる。
日本には豊かな物語が多い
――日本でも独自コンテンツに対する需要は増えていますか?
キャロル そう実感している。私たちは、日本には深く豊かな物語があると認識している。漫画ベースのものも、小説ベースのものも、誰もがよく知る物語がある。
日本の制作チームから『ガンニバル』の提案があった時、ディズニーとしては典型的な作品ではないと感じた。ただ『ガンニバル』は漫画がベースで、リアリティとファンタジーが共存している。
とても怖い話だが、その中に家族愛や都会と村、村の人々の交流など、さまざま要素がある。漫画によって知られたIP(知的財産)をより深く伝えることができる作品であり、今後もこうした作品を増やしていきたい。
――日本の物語として『SHOGUN 将軍』が世界的に注目されました。
キャロル 『SHOGUN 将軍』は小説がベースで、キャラクターとストーリーが確立されており、力強い内容だった。大切なことは、細部へのこだわりだろう。本物の「日本」であり、あの時代にタイムスリップしたかのようだった。真田広之さん自身がプロデュースし、「オーセンティシティ」(本物志向)だったからこそ、世界で受け入れられたのだと思う。
――独自コンテンツについての今後の戦略は?
ルーク 現在のアジア地域での投資額のレベルには満足している。ただ、その配分を変えることはある。
日本はより「量」、もっと多くの独自コンテンツを制作したい。今後、1本あたりの制作コストが上がった場合は(日本に対する)全体の投資を増やす必要があるだろう。
韓国の場合、量は十分にある。今後は質を重視し、視聴者により影響を与えられるものを作っていきたい。韓国は制作コストがとても上がった。それに合わせて投資も増やしたが、それも無限ではない。ある時点で、われわれもリソースをどう配分していくか、考えなければいけない。
1980年代は香港映画の全盛期だった。日本のテレビドラマが人気だったこともある。今日は韓国ドラマ。だが、将来どうなるかは分からない。われわれにとって大事なことは、消費者のニーズにしっかりと応えていくことだ。
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