再発防止策は?さいたま市PTA協議会、約1080万円の使徒不明金問題の「その後」 各校を束ねる上部団体、PTA連合の存在意義

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再発防止策と新しい取り組みで再スタート

――元会長は、日P会館改修工事にからみ、自らの利益を得る目的で知人関係にあった工務店に代金を水増し請求させ、差額の約1205万円を自身が関与する会社を通じて受け取ったとみられ、2024年7月に背任容疑で逮捕されました。一連の騒動をふまえ、再発防止策にはどのように取り組んでいるのでしょうか。

右から、2024年度さいたま市PTA協議会会長・郡島典幸(ぐんしま・のりゆき)氏、副会長・和田洋樹(わだ・ひろき)氏、副会長・小日向哲典(こびなた・てつのり)氏、事務局長・溝口景子(みぞぐち・けいこ)氏。さいたま市PTA協議会ホームページ
(写真:長島氏撮影)

郡島:このような不正が二度と起こらぬよう、会計規定においては「20万円以上の支払いは理事会承認が必要」「金額によらず、項目ごとに決算額を理事会に報告する」などチェック体制を強化したことに加え、「PTA活動総合補償制度」「児童・生徒ワイド補償制度」「個人情報漏洩補償制度」の内規においては「内規の遵守」の項目を追加し、本協議会役員と保険会社との協議内容は速やかに理事会に報告し、記録すること、この内規は補償制度を委託する保険会社や代理店にも共有し、内規遵守のために協力を要請することとしました。

また、予算・決算を通じて一般会計と保険口座で実施する事業の明確化を行い、一般会計・保険口座それぞれで収支が完結するようにしました。

――日P退会後はどのように運営しているのでしょうか。新しい取り組みなどについてご教示ください。

郡島:当協議会主導で、埼玉県内の協議会同士の情報共有を目的にLINEのオープンチャットを立ち上げました。また、当協議会と同様に日Pを退会した千葉市PTA連絡協議会さんが立ち上げた、日P加入非加入問わず全国の協議会の情報共有を行うLINEのオープンチャットにも参加し、必要に応じて事例を共有したり、困りごとがあれば相談したりしています。

また、当協議会では、毎年秋に市内の小・中学校PTA役員が任意で参加する「役員セミナー」を開催しています。今年度は優良PTA文部科学大臣賞表彰の2校による事例発表、広報紙コンクール最優秀受賞校によるパネルディスカッションを行いました。今後は講演や各校取り組みの共有など役員セミナーを少しずつ拡大し、全国大会や関東ブロック大会に代わる新たなつながりの場にしていけたらと思っています。

――オンライン化も進めていらっしゃるのですね。

和田:会議資料の共有や意見交換の効率化を目的に、昨年度よりクラウドサービスkintoneを導入し、本年度から運用を始めています。これまで、会議では資料の配布や意見の整理などに時間がかかり、議事進行がスムーズに行えないことが課題でした。kintoneを活用することで、事前に資料を共有し、ある程度意見や情報を共有したうえで活発に意見を交換でき、会議時間を有意義に使うことができています。

各校PTAの役員情報の収集やセミナーの出欠なども、従来の紙ベースから脱却し、デジタル化を進めることで、情報共有のスピードアップと正確性の向上が図れるよう準備を進めています。

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