再発防止策は?さいたま市PTA協議会、約1080万円の使徒不明金問題の「その後」 各校を束ねる上部団体、PTA連合の存在意義
郡島:「このままではいけない」「徹底的に調べよう」と。第三者委員会設置決定後、「誰に調査してもらうのか」「調査はしてもらうが、その結果をどのように報告するか」「調査費用はどこから捻出するのか」など、役員からさまざまな意見が出て相当議論を重ねました。
その結果、専門的な分野に関しては弁護士1名、税理士1名に調査をお願いし、助言を受けながら理事会で検討、決裁していくことになりました。また、活動の透明性を保つ意味でも、調査の経緯や結果は逐一当協議会のホームページ上で公表していくことにしました。
――調査費用はどのように捻出されたのでしょうか。
郡島:当協議会の会計は、会員校からの会費(会員1人当たり年50円)や市からの補助金からなる「一般会計」と、保険事業事務手数料収入等からなる「保険事業会計」の2つに分かれています。調査費用は一般会計からではなく、2023年度の保険収入からまかないました。
「正常なガバナンスが機能していない」日Pを退会
――第三者委員会による調査の結果、「2016年から2018年度に会長を務めていた元会長は協議会を私物化し、支出を全体として主導的な立場で行っていた」「PTA活動総合補償制度において、保険代理店の選定に市P協は関与してはならないという規定があるにもかかわらず、自身と関係のある代理店を意図的に参画させた」ことが明らかになり、2024年6 月の定期総会で、貴協議会は元会長を内規違反として除名処分としました。その後、「業務上横領の疑いで逮捕」の報道がありました。また、元会長は、日Pの理事なども務め、不明瞭な赤字の計上にも関与していたそうですね。

(資料:さいたま市PTA協議会提供)
郡島:元会長は2018年から日Pの理事などを務め、日Pの事務局を事実上統括しているとみられており、当協議会と同様のことが日Pでも起きていることは容易に想像できました。
実際、日Pは、2022年度予算の約4700万円に上る赤字を計上。3000万円を超える旅費交通費と会議費のほか、約2000万円は日P会館の雨漏りなどの修繕工事費に使われたとされていました。これらの詳細や、「日P会館の改修工事で三役や理事会が見積もりや領収書を承認していたか」などについて、2023年6月より当協議会から公開質問状を何度も送ったにもかかわらず、日Pからは誠実な回答は得られませんでした。
訪問の約束を取り付けるなどしても、何かしらの理由を付け、何度もキャンセルされています。ようやく行われた日P会館での面談においても、満足に資料の確認をすることもできない状態でした。
――2023年12月の理事会で、日P退会が決まったそうですね。
郡島:元会長が関わっている組織として信用できないこと、これまでの対応を鑑み、現在の日Pは正常なガバナンスが機能していない状態であると認定したためです。当協議会のホームページでも公表し、日Pを退会することによる当協議会会員への不利益などがないよう配慮し、そのための施策を速やかに検討・実施していくことをお伝えしました。2024年6月に退会届けを提出し、正式に退会しました。
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