共和党指名争いはロムニー氏有利だが、民主党オバマ大統領にも追い風【米大統領選・専門家の見方】
共和党予備選挙の行方自体は、ロムニー候補に有利な状況が継続しよう
極端な無政府主義と孤立主義的な外交政策を訴えるポール下院議員は、支持の広がりに限界がある。「反ロムニー」の主軸として急伸するサントラム候補も、長期の予備選挙を戦い抜く資金力・組織力では大きく立ち遅れている。
加えて、サントラム候補は泡沫候補の時期が長かった関係で、その実績などが精査されるのはこれから。同氏の主張には、一定の政府の役割を認める「思いやりのある保守主義」的な側面があり、ティー・パーティ的な支持層の受け皿になり得るかには疑問もある。
むしろロムニー候補にとっては、より強力な対抗馬であったはずのギングリッチ元下院議長、ペリー・テキサス州知事の両候補がほぼ脱落したことが好材料。こうした構図は、1996年の共和党予備選挙に類似している。
当時の予備選挙では、超保守派のブキャナン候補がニュー・ハンプシャー州で番狂わせの勝利を演じたが、本命だったドール候補はブキャナン候補には予備選を戦い抜く力がないとみて、当初からその勢いを無視。むしろ、潜在的な対抗馬であったアレクサンダー候補に攻撃を集中、ブキャナン候補に敗れた同候補が失速したことで、候補者指名の獲得を確実にした。
注目すべきは、ロムニー候補の課題が改めて鮮明になった点だ
圧倒的な知名度にもかかわらず、ロムニー候補の得票率は前回08年の党員集会とほぼ変わらず。かねて指摘される「支持率30%の壁」は超えられず、「7割強の共和党支持者に支持されない」状況が継続している。党員集会参加者への調査でも、保守派・ティー・パーティ支持者のロムニー候補支持は低調。保守層への浸透不足は明らかだ。