街中充電サービスが「推し活市場」に新たな選択肢 全国4万台の設置網を広告事業に活用へ
INFORICHの新サービスには、ファンカルチャーの新潮流が背景にある。韓国発祥の「センイル広告」と呼ばれる現象だ。「センイル」とは韓国語で「誕生日」を意味し、ファンが好きなアーティストの誕生日を祝うために駅や街頭の広告スペースを借り切り、祝福メッセージを掲出する文化だ。
韓国メディアITChosunの報道によると、韓国でのセンイル広告の件数は2014年にわずか76件だったものが、2019年には2166件まで急増。ソウル交通公社の関連広告収入は年間440億ウォン(約46億円)規模にまで成長しているという。この現象は、近年日本でも広がりを見せており、JR東日本企画(jeki)が広告プラットフォーム事業に参入するなどの動きがある。
循環型エコシステムの構築へ
しかし、従来の市場には大きな課題があった。秋山氏は、その問題点をこう指摘する。
「こうした広告は、ビルボードに推しの広告がボーンと打たれてファンは満足します。ただ、実はアーティストとしては事務所公認ではなく、アーティスト本人が喜ぶから事務所は目をつぶっているだけ。サードパーティーのビルボードが儲かるだけで、実は誰にも還元できていない」
先述のITChosonによれば、地下鉄駅での1カ月の広告費用は300万〜700万ウォン(約31万〜73万円)で、デザイン費用なども別途必要となる。この高額な費用と非公式な性質が、市場の健全な発展を阻んでいた。
チアスポットが画期的なのは、高額な費用の問題を解決するだけではない。最大の特徴は、支払われた料金の一部がアーティストや地域に還元される仕組みだ。
「その一部がライセンス料として事務所に還元されます。また、チャージスポットの設置店舗にも広告収入の一部を還元しています」と秋山氏は説明する。ファンの応援がアーティストの活動資金となり、さらには設置店舗がある地域の経済活性化にもつながるという訳だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら