1つ目は、これまでのトランプ氏の主張に沿う政策を支持しているグループ。ウクライナへの軍事支援をストップして、ロシアとの戦争を終わらせるというものだ。
これに対し、最近形成された2つのグループの主張は、これとはまったく逆だ。今、軍事的にウクライナを見放すことに反対しているのだ。前者のグループが主張しているように、違法な侵攻をしたロシアに領土面で譲歩を行えば、結果的に欧州における平和維持やアメリカの国益を脅かすことになると警告しているという。
2国間戦争か欧州全体の戦争か
言い換えれば、前者は、ウクライナ紛争をロシアとウクライナとの単なる2国間戦争と限定的に捉えている。戦争を終了させて、トランプ流「取引」外交の成果として誇示しようという政治的思惑が優先されている。
これに対し、後者は現在のウクライナ紛争について、欧州全体の安全保障に関わる国際的紛争として、より深刻に捉えていると言えよう。
さらに最近北朝鮮がロシアの要請を受け、1万人以上の軍を派兵したことでウクライナ紛争が地理的にも欧州を超え、アジアに波及している。こうした新たな展開を受け、このグループが危機感を一層募らせているのは間違いないだろう。
トランプ陣営内で、ロシアへの過度の譲歩に反対する声が浮上した要因はほかにもある。2024年に入り、プーチン政権が中国、北朝鮮、イランとの間で反西側枢軸国連合の構築を進めていることだ。
ウクライナにおけるロシアの軍事的優勢を固定化する取引をすれば、プーチン政権が率いる枢軸国連合を勢いづかせるとの危機感があるとみる。
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