好調な台湾経済、中国「過剰生産」に抱く危機感 中国の「経済的威圧」にどう対抗するかに直結

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台湾の頼政権が「台湾独立」を目指しているとの認識に立つ中国政府は、経済的手段を使って「台湾独立」を阻止し、台湾との統一に有利な環境を形作ろうとしてきた。一部の台湾の識者は、過剰生産能力問題で中国の成長力が一段と低下していくことで、台湾企業の中国離れが進み、中国による「経済的威圧」に強い経済構造への移行が促されるとみているが、そうした見方は主流とはいいがたい。

中国の過剰生産で台湾経済の弱体化に懸念

むしろ、過剰生産能力を背景とした中国による「デフレ輸出」や中国国内での保護主義の高まりによって台湾経済が弱体化し、経済安全保障上も脆弱となることへの警戒感の方が強い。

例えば、①安価な中国製品に中国市場や第三国市場を奪われ、台湾の戦略的不可欠性が低下する、②安価な中国製品が台湾に大量流入することで対中輸入依存度が高まり、中国にチョークポイントを握られ、台湾の戦略的自律性が低下する、といった事態が懸念されている。

とりわけ台湾が経済安全保障上も重視している半導体、新エネルギー、バッテリー、新興分野として重視しているEV、台湾の主力産業である鉄鋼・石油化学産業などで中国の過剰生産能力問題が深刻化、長期化し、台湾経済の屋台骨を揺るがすリスクが意識されている。

また、台湾側には中国が自身の過剰生産能力問題を緩和するために、台湾との政治的摩擦を利用しているとの見方がある。

中国政府は2024年に入り、中台間で2010年に締結した自由貿易協定「海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)」に基づく台湾製品へのゼロ関税の適用を漸進的に停止し始めた。その理由は、ECFAで漸進的に貿易障壁を削減することを約束したにもかかわらず、民進党政権が対中輸入規制を維持し続けていること、民進党が「台湾独立」に向けた動きを止めていないこととされている。

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