太陽電池関連の台湾企業も中国の過剰生産能力を強く批判している。台湾太陽光電産業協会は、中国の太陽電池モジュールメーカーが東南アジア経由で相場を大きく下回る価格で世界に大量に輸出しており、中国の非理性的な競争のせいで、台湾の太陽電池産業の規模は10年前の約3分の1にまで縮小してしまったと指摘している。
台湾の半導体産業にも中国の過剰生産能力問題が影を落とし始めている。先進プロセスでは台湾企業の優位性は揺らいでいない。アメリカなどによる半導体関連技術・設備の対中輸出制限が中国企業のキャッチアップを妨げているためだ。
台湾の半導体も値下げを余儀なくされる
しかし、成熟プロセスの状況は異なる。需要の戻りが強くない中、半導体国産化政策に支えられた中国企業が積極的な設備投資を続けており、中国市場を中心に競争が一段と激しさを増しているためである。ここ2~3年は中国の半導体受託生産企業(ファウンドリー)の値下げに台湾勢が追随を余儀なくされていると報じられている。
台湾企業は今後成熟プロセス分野において中国企業とのさらに激しい競争にさらされる可能性が高い。台湾のIT市場調査会社トレンドフォースは、台湾の成熟プロセスの半導体製造能力の世界シェアが2023年の49%から2027年には42%に落ちる一方、中国のシェアは同期間に29%から33%に拡大すると予測している。
同社の予測によると2025年にはスマートフォンやパソコン、サーバー、自動車向けの成熟プロセスの需要が回復することで、ファウンドリー世界大手10社の設備稼働率は小幅回復する。ただ、稼働率は80%に届かず、UMC、VIS、PSMCといった成熟プロセス主体の台湾のファウンドリーは2025年も値下げ圧力にさらされることになる見込みだ。
中国の過剰生産能力問題は、台湾に対する中国の「経済的威圧」とも密接にかかわっていると頼清徳政権は認識している。
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