使い勝手悪い?激変した「青春18きっぷ」の問題点 自動改札を通れるという改善点もあるが…・

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筆者はかつて旅行会社で海外格安航空券や海外の宿泊を手配していた経験があり、ヨーロッパ旅行では「ユーレイルパス」(各国別のもの含めて)も扱っていた。当初「ユーレイルパス」は連続する15日間、21日間有効などであったが、移動日と観光の日のメリハリが付けにくいことから、「1カ月の間の任意の5日間」などという「ユーレイルフレキシーパス」というタイプが主流となった。これは世界の多くの地域での流れである。

それを踏まえると、今回の18きっぷのルール改定は、時代の流れに逆行している。日本各地の観光振興にプラスになるとは思えないし、観光業関連の人たちにも歓迎されないであろう。

では、ヨーロッパではこの「任意の5日間」といったルールの切符をどうやってうまく機能させているのだろう。かつては紙の切符を駅員や車掌が目視して確認していたが、現在はスマートホン上のアプリに表示されるQRコードを自動改札機や車掌が携帯するスマートホンで読み込んで、有効な切符かどうかをチェックしている。

ヨーロッパでは任意の日程で使えるパスもQRコード対応なので問題が起こらない(筆者撮影)

モバイル版で従来の18きっぷを復活させてはどうか

筆者は、海外の鉄道を紹介するたびに、日本のIT化の遅れを指摘しているが、今回のルール改定にあたって海外の事例を参考にすることなどは行ったのだろうか。日本の鉄道は安全性、時間に正確な運行、利用者のマナーのよさなどから、世界一の自負があるのであろうが、旅客サービス面では世界に後れを取ってしまった。

いずれ日本でも、長距離切符はアプリからの購入が主流になるであろう。海外に負けないためにも「青春18きっぷモバイル版」などとして、任意の5日間で利用できる切符の復活を期待したいし、そのほうが日本全体の観光振興にも役立つはずである。物価高や円安などから海外旅行が低迷している時期に、国内旅行にまでマイナスのニュースで途方に暮れる人が続出しないことを願うばかりである。

谷川 一巳 交通ライター

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たにがわ ひとみ / Hitomi Tanigawa

1958年横浜市生まれ。日本大学卒業。旅行会社勤務を経てフリーライターに。雑誌、書籍で世界の公共交通機関や旅行に関して執筆する。国鉄時代に日本の私鉄を含む鉄道すべてに乗車。また、利用した海外の鉄道は40カ国以上の路線に及ぶ。おもな著書に『割引切符でめぐるローカル線の旅』『鉄道で楽しむアジアの旅』『ニッポン 鉄道の旅68選』(以上、平凡社新書)などがある。

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