使い勝手悪い?激変した「青春18きっぷ」の問題点 自動改札を通れるという改善点もあるが…・

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

18きっぷのメリットは、決して価格やJR全線普通列車乗り放題といった単純なルールだけではなく、1人で5日、5人で日帰り、2人で1泊2日+1人で日帰りなど「融通の利くルール」だったことだ。私の周りにも18きっぷ愛用者は多いものの、1人で5日間連続利用する人というのはまず見当たらない。「1人じゃ使い切れないから2日分を使ってほしい」として友人とシェアするといったやり取りが多くあった。

遡れば、1996年までの18きっぷは購入した時点で1日券が5枚といった形態であったが、その頃は発売と同時に金券屋でバラ売りされていた。利用者としては1日単位で購入でき便利であったが、JRとしては金券屋でのバラ売りは面白くなかったらしく、1枚の切符に5回分の日付印を押すタイプに改められた。それが、とうとう1人で連続利用しかできなくなったわけで、「融通の利くルール」には程遠い存在になってしまった。

現在では、「18きっぷ」は若者が鉄道の旅に馴染める唯一の存在でもあった。おそらく高校や大学のサークル活動などの旅行計画の作成もかなり難しくなるであろうし、自転車を鉄道に載せての旅行などは、鉄道利用と自転車移動の組み合わせなので、プランニングは難しくなったであろう。社会人にとっても、週末だけの利用を何回かに分けるなど、休暇を取らずに楽しめる気軽さから人気があったのである。

変わらないネーミングで混乱は起きないか

これらのことは、JR各社も熟慮の決定であろうから、18きっぷの売り上げが減るのは覚悟しているに違いない。

むしろ、今回のルール改定の最大の問題点は、ネーミングが変わっていない点ではないか。これほどに利用方法が変わったにもかかわらず、相変わらず「青春18きっぷ」を名乗っているが、筆者は新しい18きっぷはもはや「青春18きっぷ」ではないと感じる。先日まで発売されていた「秋の乗り放題パス」と内容が似ているので、「冬の乗り放題きっぷ」「春の乗り放題きっぷ」などとしたほうが、よほどすっきりする。

多くの利用者の間では、18きっぷは期間内に任意の5日間、複数人数でも可能ということが浸透しているので、同じネーミングでまったくルールの異なる切符を発売することで混乱を招くのではないか。知名度のある商品だっただけに新しいルールが浸透するのに時間を要すると感じる。

ちなみに券売機で購入する場合、従来でも利用開始日を押す必要があった(押してもその日に利用するという意味ではなかった)。ところが次回からは利用日を決めてからしか購入できなくなったので、「とりあえず買っておく」ということもできなくなった。

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事