忙しい時つい見失いがちなビジネスの鉄則とは 起業家として大成功したミュージシャンの教え

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そして彼はミュージシャンの視点に立って「夢の流通契約」を考えた。

それは既存の流通業者がやってくれないことで、シヴァーズにとって「ユートピアのような完璧な世界」だった。

1 毎週、支払いをしてくれる。
2 自分のCDを買ってくれた顧客全員の氏名と住所を教えてくれる(それはミュージシャンのファンであって、流通業者のファンではない)。
3 CDが売れなくても、システムから追い出されない(5年に1枚しか売れなくても、売り続けてくれる)。
4 ウェブサイト上で有料の優先表示はしない(資金の余裕がない人に不公平だから)。
(12ページより)

音楽産業に詳しい方なら、このやり方がいかに画期的であるかがわかるはずだ。大手レコード会社のビジネスとは対照的な、インディーズ視点のアプローチだからである。

顧客とのつながりを大切にするという発想も、いたってDIY的。1960年代以来、音楽活動からマーケティングまで、すべての業務を自分たちでやってきたグレイトフル・デッドというバンドの姿勢に通じるものがある。

起業とは、自分のユートピアをつくること

いずれにしても、これが著者の使命になったのだ。そんなこともあり、起業に関する考え方も独特だ。

起業とは、すべての法則を自分でコントロールできる小さな宇宙をつくることだ。それは自分の理想の世界、ユートピアをつくることにほかならない。
そして、自分の夢を叶えることは、別の誰かの夢も叶えることになる。
(13ページより)

CDベイビーが成功する前、シヴァーズは「みんなが本当に欲しがるもの」を提供できる存在になろうと、ありとあらゆるマーケティング手法を試し、必死に人脈をつくり、プレゼンし、売り込みをしたという。

だがそれは、つねに向かい風を受けているかのような苦しい戦いだったようだ。

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