忙しい時つい見失いがちなビジネスの鉄則とは 起業家として大成功したミュージシャンの教え
堂々と対象を絞り込む
シヴァーズの本は、ビジネスの対象を絞り込むことについても、示唆に富む教えを授けてくれる。
「すべての人を喜ばせるのは不可能」――これは、誰もが知っていることだろう。
それなのに、あらゆる人を、あらゆることで満足させようとしている企業は多くあり、なぜ自分たちが世の中から注目されないのかと不思議に思っている。
あなたが対象にすべき顧客層と、そうでない顧客層を、はっきりと分けよう。そして、そのことを堂々と公言しよう。そうすることで、本当に自分たちが相手にしたい人たちの心をつかめるようになる。
(47ページより)
このことに関連し、シヴァーズはCDベイビーの人気が高まり始めたころのエピソードを引き合いに出している。
大手のレコード会社から、売り出し中のホットなアーティストをCDベイビーで大きく取り上げてほしいと連絡があったというのだ。
「断る。ここではそういうことはやらないんだ」と返答すると、レコード会社の担当者は驚き、「『そういうことはやらない』とはどういうことだ? そっちはレコード店で、こっちはレコード会社だぞ!」と憤った。その怒りに対するシヴァーズの答えはこうだ。
「そっちはどこでだって売り出せるだろう? CDベイビーはインディーズのミュージシャンに特化したサイトだ。つまり、大手のレコード会社に権利を売り渡さないことを選んだミュージシャンたちだ。彼らに最大限の注目が集まるように、僕らのサイトではメジャーレーベルの活動は認めていない」
非常に痛快だが、その根底にあるのは次のような考え方である。
世界は広い。99%の人を相手にしないと宣言しても、十分にビジネスはできる。
「残りの99%は対象外にする」と宣言することで、本当にターゲットにしたい1%の人たちが向こうからやって来てくれる。その1%の人たちのことをどれだけ大切に思っているかを示したからだ。
(48ページより)
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