スマホ強化は8割達成 高付加価値の土管屋になる--KDDI社長 田中孝司
アイフォーン投入の陣頭指揮を執ったのは2010年12月に就任し、「新しいKDDIをつくる」と宣言した田中孝司社長。10年間にわたり采配を振るった、小野寺正・現会長からバトンを渡され、最大の課題であったスマートフォン(スマホ)強化に取り組んでいる。スマホ普及後の成長戦略を田中社長に聞いた。
──社長就任時の会見では、社内に自由闊達な雰囲気を取り戻したいと強調していました。
スマホへの対応が遅れたのはリスクを恐れる集団になっていたからだ。安定した業績が続くと組織は堕落する。保身に走り、新しいことへ挑戦しなくてもよいと考える雰囲気が社内にあった。そのため「あんなもの売れるわけがない」と、スマホを軽視してしまった。
スピード感の欠如は業界特有の問題でもある。通信事業者は月々に決まった収入があり、収益は急激に変わらない。世の中に10の変化が起きても、0・5くらいの変化しか起きない。そのため、世の中の変化が業績に直結するメーカーなどとは違い、社会の変化に乗り遅れてしまう。社長に就任した際、もう一度戦う集団になるために、縦横の組織と自由にコラボレーションできるような雰囲気が必要だと考えた。