NGアーティスト連発の中「トランプ愛用」の出囃子 キャンペーンソングで見るアメリカ大統領選
ビヨンセ自身も本作を通した政治的な発信に意図的で、2018年のコーチェラ・フェスティバルの際には『Freedom』の直後に、「黒人の国歌」とも呼ばれる『Lift Every Voice and Sing』を歌い上げた。
のちに『Freedom』は2020年のBLMの際にも積極的に歌われ「黒人」をユナイトする楽曲として用いられてきた。『ローリング・ストーン』誌は「ビヨンセのキャリアの中でもっとも印象的な政治的発信」と述べた。
「女性」「黒人」としてのアイデンティティを表明
こうしたきわめて「政治的」で「女性的で」「黒い」曲をカマラ・ハリスが今回のキャンペーンに用いたことは興味深い。「女性」として、また「黒人」としてのアイデンティティを表明する姿勢を体現する『Freedom』はハリスの選挙戦略をクリアに表している。
そしてそれは、見方を変えれば、バイデンの弱点とされていた「黒人層」「女性」「若者」の票を獲得するねらいがあるようにも見て取れる。
トランプは7月、イベントに出席した際、「カマラ・ハリスはインド人だと思っていたが、いつの間にか黒人になった」と、毎度の語り口でそのアイデンティティの政治利用を批判した。
いずれにせよ、曲の主題で見ると、トランプが「愛国」や「アメリカの自由」などの曲を選択しているのに対し、バイデンは「愛」や「希望」「団結」のメッセージが込められた曲で対抗した。そしてカマラ・ハリスは、自身のエスニシティやジェンダーを存分に活かし、歌い手のストーリーを自身と重ねる演出で、有権者に訴えかけている。
さて来年の1月、ホワイトハウスにいるのは誰だろうか。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら