ホラーゲームの名作、最新技術で蘇る"心理的恐怖" かつての「独特の空気」を強く感じられる一作

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霧だらけのサイレントヒル。かつてはハード性能の限界もあってあえて周囲を見づらくしていたと思われるが、今回は霧をビジュアルのひとつとしてしっかり描写している(画像:『サイレントヒル2』公式サイトより) 

前述のように、本作はサイコロジカルホラーである。ジャンプスケア(急に大きな音を出したり、画面いっぱいに何かを出して驚かせる演出)は控えめで、雰囲気で恐怖を煽ってくるのが特徴だ。

リメイク版『サイレントヒル2』で特に秀逸なのが“音”である。聞こえてくる音は環境音のようでありながら、常に不安を煽る音が鳴っているのだ。

例えば、うなり声に聞こえるような風の音、何かのささやき声、何かがドアや床を叩く音など、常に聴覚から不安を覚えさせようとする。ヘッドホンで遊ぶべき作品といえよう。

原作から存在した「敵が近づくとノイズを発するラジオ」も健在である。これは敵に近づいているというヒントになるうえ、ホラーらしい雰囲気を演出する優れたシステムである。夜中に遊べば、常に背後に不安がつきまとっているような感覚を味わえるだろう。

『バイオ』フォロワーをあえて強調

リメイク版はヒントなどが充実しているが、それでも建物のなかをきっちり探索しなければ先に進めない(画像:『サイレントヒル2』公式サイトより) 

一方で、リメイク版『サイレントヒル2』を遊んで筆者が違和感を覚えたのが『バイオハザード』のフォロワーであることを強調している部分だ。

『サイレントヒル2』は明らかに、カプコンの『バイオハザード』シリーズから影響を受けている。前述の固定カメラもそうだし、奇妙な謎解き、アイテムのリソース管理(残数を気にしながらゲームを進める)といった部分も似通っている。

謎解きは特徴的なものが多い。鍵を探して行き先を見つけるというのは当たり前で、単なるアパートにも仰々しいメダルの謎解きがあるのだ。

サイレントヒルに到着したときも興味深い。ここで主人公のジェイムスは何をするのかというと、まず割れたレコードを探し、それを接着剤でつけて、続いてコインを探して、最後にジュークボックスにかけることでようやく次へ行けるのだ。

いかにもゲーム的であり、現実ではまずありえない奇妙な謎解きだ。これは怖さよりおもしろさが勝るので恐怖を演出するという意味ではノイズなのだが、しかし、リメイク版ではあえてそこが強調されているようだ。

近接武器、ハンドガン、ショットガン、ライフルと武器の種類は少なめ。クリーチャーの動きもすべて作り直されている(画像:『サイレントヒル2』公式サイトより) 

バトルにおけるゲームシステムも強化されている。本作はクリーチャーと戦うときに銃のみならず、鉄パイプなどの近接武器も存在する。リメイク版では近接武器が使いやすくなっているうえ、敵の攻撃をうまく回避しつつ、殴りまくって踏みつけるといったアクションができるようになっている。

不気味なクリーチャーをぶん殴って踏みつけるのは、スピード感ある演出もあいまって気持ちよいのだが、一方で心理的恐怖を忘れる瞬間でもある。

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