東京で「貧しい日本人」を排除する施設が増える訳 庶民にも開かれた大阪、ニセコと大差ない東京

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再開発の「違う道」を探して

個々の再開発事例は開発のスキームや規模感も異なるから、それを一様に比べることに無理があるのでは、という意見が出てきそうだ。たしかに、都市論関係者の間での話ならばその違いを見るのも重要だろう。

しかし、あくまでもできてしまった施設は、その街に暮らす人やそこに訪れる人からすれば、同じ建物でしかない。開発主体がどうだとか、なんだとか、関係ないのである。

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今後も、東京ではさまざまな再開発が進んでいく。ただ、いくつかの事例を見ても、やはり「金太郎飴」感から脱していないような、「高層ビル」「富裕層向け」「インバウンド向け」の施設が目立つ。

例えば、東京駅前にできる予定の「トーチタワー」。まだ完成していないから断罪することはできないが、高層階にホテル(しかも、ウルトララグジュアリーホテルらしい)、低層階に高級そうなショップ、そして適度な緑地……というお馴染みの構成だ。この時点で、多くの庶民である市民には、「名前を覚える必要のない施設」と言って良さそうである。

こうした再開発が街にどのような影響を及ぼすのか、それはまだ誰にもわからない。でも、その街の「多様性」を本当に考えるならば、違う道もあることに気が付くときがそろそろ来ているのかもしれない。

谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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