ソフトバンク、「医療AIに猛進」の知られざる内幕 孫社長が事業立ち上げを託したキーマンに直撃

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ーーその先の目標は?

遺伝子データ、ライフログを組み合わせることで、予防にも活用できるようにしていきたい。たとえば、「このパターンの遺伝子特性を持っている人が、食事の際に心がけなければいけないこと」というものがわかる。

本人の許諾を得ることが大前提だが、位置情報を活用すれば、たとえば深夜にラーメン屋に30分いたことを把握できる。医者はそのデータを見て注意を促せばいい。「ラーメン屋にいきましたか?避けたほうがいいですよ」と。

健康診断などでは食事やアルコール摂取量について自己申告のアンケートで済ませることが多いが、正直に回答している人は多くはない。ライフログと組み合わせることでより精緻な予防をできるようになると思う。

痛みなどがあった場合にも、その瞬間にスマートフォンに記録を残せるようにすれば、医者にとって重要な判断材料になる。これは(グループの中核子会社である)ソフトバンクが携帯通信会社だからこそできることだ。

孫社長から、週に一度は打ち合わせや指示

ーー遺伝子検査は、健康なときに行ったほうがいいということですね。

理想としては、健康なときにやっておくべきだと思う。なぜかというと、がんは遺伝要素が大きいから。私個人でも、親が同じ消化器系のがん、その親もそう。とくに大腸がんは遺伝要素が大きい。もちろん生活習慣から来るがんもある。いろいろなデータで、パターンを全部理解することが重要になる。

がんになると治療にかなりのお金が必要だ。予防できるようになれば医療費を削減できる。がんになった場合にも、適切な治療方法を選べるようになれば、医療費の節約につながる。遺伝子検査は自費診療で60万円、保険適用で6万円と高額だが、結果的にトータルの医療費削減につなげていくことも可能だと思う。

目標としては、遺伝子検査数を現在の2万件からなるべく早く10万〜20万件にしていきたいし、それはできると思っている。

遺伝子検査の設備投資、アダプター開発などをやり始めると、おそらく当初の資本金300億円(資本準備金含む)はすぐに使い切ってしまう。その後にも相当の投資が必要になると思うが、まずはしっかり仕組みを作り上げていきたい。これは、エスビーテンパスがやるべき使命だと思っている。

ーー孫社長からはどのように言われていますか。

週に一度は打ち合わせや指示があるが、毎回のように言われるのは「メディカルAGI、メディカルASIであることを忘れるな」ということ。大きな目標を見失わずに事業を進めろ、ということだろう。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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