ソフトバンク、「医療AIに猛進」の知られざる内幕 孫社長が事業立ち上げを託したキーマンに直撃
「柴山、メディカルAGIをやるぞ」
ーー8月1日にエスビーテンパスが設立されました。ソフトバンクグループ側の役員陣をみると、若手ホープの北原秀文氏が社長、通信事業参入時からの孫社長の懐刀である筒井多圭志氏が取締役チーフサイエンティスト、そしてビッグデータ専門家の柴山さんが取締役CDOという布陣です。そもそも孫社長からはどのように声が掛かったのですか。
検討が始まったのは昨年10月。「柴山、メディカルAGIをやるぞ」ということで孫さんに呼ばれた。メディカルAGI、そしてその先にあるメディカルASIとは、AIのパワーを医療分野に活用していこうという取り組み。背景にあるのは、がんで亡くなる人を減らしていきたい、という強い思いだ。会見でも言っていたように、孫さんのお父さんが突然のがんで亡くなったことが、大きなショックだった。
遺伝子検査データ、電子カルテのデータ、CT/MRIなどの画像データ、病理データなどを集めてAIで解析していったら、患者さんにもお医者さんにも役に立つものが開発できるんじゃないかというところからスタートしている。
ーーなぜ柴山さんに声が掛かったと思いますか。
私はAgoop(ソフトバンク100%出資子会社)において、位置情報のビッグデータの取り扱いをしてきた経験値がある。医療に関するデータは位置情報と同様に、取り扱いに注意が必要なプライバシーデータなので、私の経験値が生かせると考えたのだろう。
それと、私には順天堂大学の客員教授という肩書もある。コロナの感染拡大抑止のための人流データの活用を進めていく中で、先ほど話に出た筒井(多圭志取締役)さんから「順天堂大学の大学院でデータサイエンスの授業を受け持たないか」との話があったので引き受けた。2020年に授業を始めたので、すでに3年目。孫もそのことを知っていた。
あと、もう1つ理由があるかもしれない。
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