残念ながら、YouTubeなどの動画サービスで空間オーディオをサポートしていないため、iPhoneなど空間オーディオに対応するデバイスでのファイルの受け渡しと再生をしなければならない。
実際にiPhone 16で撮影した動画のオーディオミックスを変更してみると、魔法のように、人の声が浮き上がってくることがわかるだろう。
近年、日本各地で、夏に38度を上回るような最高気温を記録するようになった。スマートフォンも暑さとは無縁ではなく、気温が高い環境下でのカメラ使用や充電は、危険や内部の損傷の危険性がある。
そうしたトラブルを防止するため、iPhoneは熱が冷めるまで機能の利用を制限する。炎天下でカメラが使えなくなったり、外出先で充電が制限されたりといった事態に遭遇した人も少なくないのではないだろうか。
iPhoneはより高速なチップとAI処理の多用で熱の問題が発生しやすくなる。これに対応するため、アルミニウムのシャシーを基盤に採用したり、プロセッサーをできるだけ中央に移動させたりするなど、熱を逃しやすい対策を施す内部構造に刷新している。
これも関係してか、iPhoneの充電速度も向上した。
これまでUSB-Cケーブル利用で27W、ワイヤレス充電で15Wまでの対応だったが、それぞれ上限が45W、25Wとなり、より短時間で充電ができるようになっている。
手元でW数が表示できる充電器を利用して計測したところ、有線接続で33Wまで、ワイヤレス充電で20Wまでの充電を確認することができた。
高速充電をしても熱を逃しやすくなっており、これまでより早く充電が完了する点は、便利ではないだろうか。
だいぶ夏の暑さも和らいできたため、実際に炎天下で、これまでよりも稼働時間を伸ばしてくれるのか、機能制限になりにくくなっているのかを、生活の中で体験できるのは、来年まで待つ必要がある。
カメラコントロールだけでも、買い替えの価値あり
魅力的なカラー展開、超広角カメラの刷新や、根本的な映像処理能力の向上による4K/秒間120フレームの動画撮影、4つのマイクを用いた空間オーディオ収録と編集など、AI抜きにしてもiPhone 16シリーズの魅力は存分に存在している点を確認できた。
スマートフォンのカメラ機能は、多くの人にとって重視されているが、筆者は特に新しいカメラ操作用のユーザーインターフェースである「カメラコントロール」を高く評価する。
片手での撮影体験の向上、そして面倒だった設定に手軽にアクセスし、直感的に調整でき、いつでもシャッターボタンを押し込めば写真が撮れる、明快な操作性は、iPhoneのカメラの第2の革命と言っても過言ではない。
カメラコントロールのために、iPhone 16シリーズに乗り換えてもいい、と思えるほどの体験向上には驚かされるばかりだ。
繰り返しになるが、2024年モデルのiPhoneの推しは、スマホ上で処理されるAI、「Apple Intelligence」だ。しかし日本では来年まで利用することができないため、今回のレビューからは除外している。
それでも、新しいカラーとカメラコントロール、熱に強い新しいボディは、iPhoneをアップデートするだけの魅力を備え、製品力が高いと評価できる。
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