6人家族の食事「平等に分ける」が正解でもない訳 「ドン・キホーテとユニクロ」売り場の決定的な差

✎ 1 ✎ 2
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

古本屋や古着屋は、商品をそれほど正確に分けずに、あえてゴチャゴチャさせていることがある。「安い」ということに加えて、「宝探し」的な楽しさを演出しているのだ。「ドン・キホーテ」なども、そのあたりを心得ている。買い物の醍だい醐ご味みはワクワク感で、分けないほうが「ワクワクしやすい」演出ができるわけだ。

一方で、「ユニクロ」はすべてのサイズが、豊富なカラーバリエーションで整理され、分けられている。そこに行けば必要な服がすぐに「見つけやすい」という安心感がある。

目的をどちらに置くかで分け方が変わる

ミカンなどの果物も、通常、スーパーでS・M・Lのサイズ別に分けて売られている。どのキュウリも真っすぐなのは、事前に曲がったものは分けられて(よけられて)いるからだ。日本の消費者は、果物や野菜の「形」について、とりわけ敏感だ。

『「しやすい」の作りかた』書影
『「しやすい」の作りかた』(サンマーク出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

つまり、目的が「ワクワクしやすい」であれば分けないという選択肢が有効なのだ。これによって客は掘り出し物を見つける「宝探し」の感覚を味わえるし、店側にとっても整理の手間を省けるので、人件費などのコストを低く抑えられるメリットがある。

一方、目的が「探しやすい」であればサイズや形ごとに分けるという選択肢が有効になる。これによって商品を効率的に探したい客を集めることができるし、厳しい目を持つ日本の消費者に対して信頼と安全をアピールすることもできる。

目的をどちらにするかで、これから行おうとしている分け方が適切かどうか判断しやすくなるだろう。

下地 寛也 コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント、エスケイブレイン代表

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

しもじ かんや / Kanya Shimoji

1969年神戸市生まれ。1992年文房具・オフィス家具メーカーのコクヨに入社。デスクや会議室の配置などの「分け方」を研究したことをきっかけに、社会のさまざまなコト、モノ、サービスの「使いにくい」「わかりにくい」といった問題点は「分け方」で「しやすい」に変えることができるという提案をするように。現在はコーポレートコミュニケーション室の室長と同時に新しい働き方を模索して複業ワーカー(エスケイブレイン代表)としてのビジネススキルに関するセミナーや講演、YouTube動画配信などの活動も積極的に行っている。著書に『考える人のメモの技術』(ダイヤモンド社)、『プレゼンの語彙力』(KADOKAWA)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事