社員ファースト?「部下が上司選択」アリかナシか 改めて考えたい「上司とは何か・部下とは何か」

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(2)成長促進

自分のキャリアや専門分野に合った上司を選ぶことで、高度なスキルや知識を吸収しやすくなる。部下の成長を促すことにつながる。

(3)生産性アップ

上司とのコミュニケーションにストレスを感じなくなり、業務に集中しやすい環境を手に入れられる。クリエイティブな思考や問題解決能力が発揮され、生産性がアップする。

このように考えれば、いいことばかりであり、この制度は組織を活性化するうえで素晴らしい打ち手だと思えてくる。

上司に対する不満についてのアンケート結果
上司がいる、もしくは上司がいた経験のある男女1,656人を対象として、上司に対する不満やコミュニケーションにおける課題を調査したアンケート結果(出所:ベンナビ労働問題/株式会社アシロ)

実際に導入した会社では離職率低下、社員のスキル向上など成果が出ている、と報道されている。だが、いろいろな前提条件がそろっていないと、期待した効果を得られないのではないか。私はそう考えている。

会社にとっての「上司選択制度」2つのデメリット

上司選択制度を導入した結果、期待通りの効果があればいいが、リスクもあるだろう。特に問題だと感じられるデメリットを2つ紹介したい。

(1)上司の負担増加とモチベーション低下

最大のデメリットはもちろんコレだ。人気の上司には部下が集まり、負担が増加する。そして選ばれなかった上司たちは複雑な感情を抱くだろう。

人気のなかった上司は自身のモチベーションを保つことが難しい。上司のパフォーマンスが落ちることで、組織の成果そのものに悪影響が出ることは大いにあり得る。

(2)組織の不安定化

人気のある上司に部下が集中する一方で、不人気な上司のチームが縮小または消滅するリスクがある。当然組織のバランスが崩れ、業務運営が不安定になるだろう。

野球でたとえればわかりやすい。多くの人が「内野を守りたい」「外野は守りたくない」「キャッチャーはムリ」など言い始めたら、強いチームを維持できなくなるのと同じだ。

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