日本医師会など40の医療団体が総決起集会を開催。受診時定額負担阻止へ、773万人分の署名を提出
日本医師会や日本歯科医師会、日本薬剤師会など40の医療団体から構成される「国民医療推進協議会」(原中勝征会長=日本医師会会長)は12月9日、東京都内で「日本の医療を守るための総決起集会」(写真)を開催。現在、現在、政府が検討を進めている「受診時定額負担」の導入やTPP(環太平洋経済連携協定)交渉で公的医療保険が対象になることに反対する決議文を採択した。
同協議会では決起集会に先立ち、受診時定額負担導入に反対する署名活動を10月12日から11月24日にかけて実施。12月2日には横路孝弘衆議院議長、5日には平田健二参議院議長宛に、計773万2801人分の署名簿を提出した。
日医などによる国民皆保険堅持を掲げた署名活動は、2005年11月以来。05年当時は政府で検討されていた混合診療の全面解禁阻止を掲げて運動を展開。今回は、高額な医薬品の使用などで医療費負担にあえぐ患者への負担軽減策として、一般の患者が外来診療を受診する際の窓口負担金を1回につき100円上乗せするという政府案が出てきたことに対して、反対の署名活動を展開した。
ここ数年、治療効果の高い難病治療薬などが相次いでいるが、薬価がきわめて高い。患者の自己負担軽減策として負担額に上限を設ける高額療養費制度が存在するものの、所得が低い家庭では十分な効果が得られないという問題が起きている。
政府では、高額療養費の上限額引き下げと同時に、その財源確保策として外来診療1回ごとに3割負担と別に100円を徴収する制度の導入検討を打ち出したが、協議会では「患者負担がなし崩し的に増大するきっかけになる」として強い反対姿勢を示している。
民主党では現在、受診時定額負担導入を見送る一方で、比較的所得の低い家庭の高額療養費の限度額を引き下げるための財源を、1000万円以上など年収が比較的高い世帯に関して限度額を引き上げることで賄おうという案が浮上。ただ、これに対しても、協議会では「患者である以上、収入の多寡にかかわらず、自己負担はすべて平等でないといけない」(日本歯科医師会の大久保満男会長)との考えを明らかにしている。
(岡田 広行 =東洋経済オンライン)
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