岸田文雄首相の退陣表明を受けて、在任中の実績をどう評価するかについて、さまざまな声が聞かれる。外交や内政など内容が多岐にわたるため、総合的な評価を短期間で下すのが難しいところもあるだろう。
では、企業の場合はどうだろうか。上場企業においては経営トップの実績はその企業の利益水準や、市場価値である時価総額をどれだけ引き上げたかを通じて、実績を定量的に評価することが可能だ。
そこで今回、上場企業の「凄腕」経営者が誰なのかを分かりやすく把握するために、在任期間における営業利益(営業利益がない会社は経常利益、税引前利益)の増加倍率順にランキングした。なお、就任直前決算期の利益10億円以上の企業を対象としている。
新たな収益柱を育てたU-NEXTの宇野社長
トップはU-NEXT HOLDINGSの宇野康秀社長。直近の2023年8月期の営業利益は215億円と、2014年の上場直後の本決算から17.3倍に増えている。
同社は飲食店など店舗向け音楽有線放送サービスを長く主力事業としてきたが、市場は成熟し成長余地が乏しい。そこで近年は動画配信に力を入れており、国内の動画配信で最大のコンテンツ数を誇る「U-NEXT」が急成長中だ。2023年には「パラビ」の運営会社も買収した。
2位は、旧都民銀行や旧八千代銀行などの再編で誕生した東京きらぼしフィナンシャルグループの渡邊壽信社長。2020年にトップに就任、2024年3月期の経常利益は当時の14.1倍の329億円となった。取引先のメインバンク化を進める戦略が奏功し、中小企業を軸に事業性融資を広げて業績を拡大している。
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