SNSが主戦場のマーケティング会社
――20代で会社を2つ立ち上げています。起業はいつ頃から考えていたのですか。
学生時代から起業家サークルに在籍していた。卒業してゴールドマン・サックス証券に入社し、投資銀行部門のM&A関連部署に配属された。通信、テクノロジー、メディア業界のベンチャー企業に関する情報と日常的に接する機会があり、学ぶことができた。
最初に立ち上げたMomentum社は、Cookie情報を使ったWeb広告の会社だった。事業を育てる過程で、一般ユーザーの居場所がWebからSNSに動いていると感じた。当時のSNSは、メーカーが広告を出す場として、それほど大きくなかった。Webに閉じた技術主体だったMomentumは売却して、新たにインスタグラムなどのSNSを主戦場とするマーケティング会社である当社を立ち上げた。
私自身は、マスマーケティングよりも、ユーザーそれぞれの個性に合わせて適切なものを届けるマーケティングに魅力を感じていることも当社創業の理由の1つだ。アンチマスではないが、マスに代わる選択肢として、SNSコミュニティを当社のテーマとして選んだ。
――ライスカレーという社名は、マスを志向しているようにも見えます。
実はライスカレーという社名も、先ほど述べたSNSコミュニティに関連がある。当社の創業メンバーに、画家のゴッホが好きな人がいる。ある日、インスタグラムで「ゴッホ」を検索すると、世田谷区にあるゴッホというカレー店がヒットした。
通常のグーグル検索で「ゴッホ」と検索すると、画家のゴッホに関する情報が上位に並ぶ。一方で、インスタグラムの一部ユーザーは「ゴッホ」というカレー店の情報を発信している。
こうした情報は、一般ユーザーの発信に主導権があるSNSならではの発見だと思う。グーグルのアルゴリズムからはなかなか発見できない。ゴッホとカレーが結びついたところで、これだけで新しいブランドを立ち上げるとはいかないが、潜在的な需要をキャッチできる可能性があるという意味で、この発見は興味深いものだと考えている。ゴッホとカレーが結びつくインサイトの象徴として、ライスカレーを社名にした。
――インスタグラムからどのように情報を収集・分析するのですか。
CCXソーシャルというSNS分析ツールを無料で配布して、そこからSNSデータを収集している。当社が開発したSNS分析ツールで、インスタグラムやTikTokなどのSNSアカウント上のコミュニティからデータを取得して可視化することができる。例えば、投稿者が最適なエンゲージメントが得られる投稿タイミングを分析したり、投稿に使用されたハッシュタグから効果のあるものを発見できる。
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