政局に翻弄され続けた腰砕けの派遣法改正
衆議院提出から2年近く棚ざらしにされてきた、労働者派遣法の改正案が急速に動き出した。
民主党は自民、公明両党と、改正案の修正で合意。早ければ今臨時国会で成立する見通しだ。主な修正点は、仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ登録型派遣や製造業務派遣の原則禁止規定の削除、偽装請負など違法派遣時に派遣先企業が直接雇用を申し込んだと見なす規定の施行の3年延期などである。
製造業務派遣の原則禁止などを掲げていた民主党のマニフェストからすると今回の改正案は完全な骨抜きであるが、党内では落胆ムードは薄い。「自民党が削除を求めたみなし雇用規定を残せただけでも半歩前進」(労組関係者)といった支援者からの一定の評価に加え、実は「当初の民主党案は修正案に近い」(同党関係者)ためだ。
民主党が2008年に取りまとめた派遣法改正案は、日雇い派遣の禁止、派遣先の責任強化といった、当時の自公政権が提出した改正案と変わらぬ微温的なものだった。そこから共闘関係にあった社民党や国民新党への配慮から、菅直人前首相の主導で、みなし雇用、登録型派遣の原則禁止など一層の規制強化へと歩を進めた経緯がある。
その後熱心だった社民党の連立離脱、菅氏の首相退任などを経て、今回08年次まで「原点回帰した」(同)というわけだ。