「新iPhone」から広告は締め出されるのか iOS9でアップルがやろうとしていること

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Content Blockerが、”Advertising Blocker”と名付けられていないのは、その名の通りウェブコンテンツ全体に作用するものだからだ。これまでもクッキーやポップアップコンテンツを拒否する機能はあったが、それらに加えて画像、音声、動画などを拒否できる。

ブロックするコンテンツを直接指定するのではなく、ウェブサイトごとに、系統立てて、コンテンツ構造からブロックするコンテンツをプログラミングできる。この機能を使えば、たとえば人気のニュースサイトに埋め込まれた、広告と思われるコンテンツのブロックすることで広告を遮断。そのことにより、データの読み込み時間や通信容量を削減できるというわけだ。

使い方次第にはなるが、多様なサービス/サイトに広告を提供しているADネットワーク全体を自動ブロックすることも可能だろう。

この機能は広告遮断ではなく、モバイル端末向けには適切ではない迷惑なコンテンツを遮断することで利用者の体験をより良いものにすることが目的だ。機能のオン/オフが切り替え可能なことはもちろん、広告をはじめ何らかのコンテンツを遮断するためのプログラムコードは含まれていない。

即座にブロックされるわけではない

したがって、製品版のiOS 9にContent Blockerが組み込まれたとしても、アップグレードをしただけで、即座に広告あるいは何らかのコンテンツが遮断されることはない。Content Blockerが機能するには、そこにコンテンツ遮断のルールを定義したコードが組み込まれる必要がある。

アップルはユーザー体験を阻害するようなコンテンツに神経を尖らせている

この数日、この機能にフォーカスが当たった理由は、Content Blockerを用いて広告遮断を行う「Crystal」という製品をMurphy Appsが開発中と発表され、その効果が劇的なものになると同社ウェブサイトで発表されたためだ

彼らは米国の代表的なニュースサイトにアクセスする速度が、広告など不要な情報をブロックすることで平均74%も速度が向上し、53%も通信容量が減ったと主張している。この大幅なアクセス時間、通信容量の削減がインパクトを与えて、テクノロジ系ブロガーやニュースサイトを中心に盛り上がっている、という図式である。

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