マスクの「X」本社が去ったサンフランシスコの今 ダウンタウンのオフィスはすでに空っぽの状態

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2006年にサンフランシスコで設立されたツイッターは2011年に、サンフランシスコを捨てて同市の南側にある小さな市ブリスベンに移転すると脅した。ブリスベンなら給与税(支払給与額に応じて雇用主に課される社会保障税)を課されない、というのがその理由だった。

「ツイッター減税」の顛末

当時サンフランシスコ市長だったエド・リーは、長引く不景気の影響と10%近い失業率に対処するため、いわゆるツイッター減税を提案した。ミッドマーケットの特定の企業に対し新規雇用者の給与税を1.5%免除するもので、対象となった企業はその見返りとして、雇用を創出し、犯罪、空室、ホームレス問題に苦しむミッドマーケット地域を活性化することになっていた。

ツイッターがマーケットストリート1355番地の新本社に移転すると、同社の従業員数は数百人から数千人へと膨れ上がった。洞窟のようにだだっ広い1階には高級バーやレストランができ、アンテロープ、ヘラジカの肉、豚の耳が提供されるようになった。

2017年までには、ウーバー、スクエア、ゼンデスクなど59の新しい企業が近隣にオフィスを構え、高級集合住宅がいくつか建設された。このブームは市の歳入増に貢献する一方で、住宅費の急騰ももたらした。

さらに、テック企業の多くは無料の食事を提供していたため、従業員は地元の店に市の上層部が期待したほどの売り上げをもたらさなかった。ツイッター減税は、成果についての賛否が割れる中、2019年に終了した。

続いて訪れた新型コロナのパンデミックでオフィスは空っぽになり、人通りは途絶えた。ツイッターの共同創業者で当時CEO(最高経営責任者)だったジャック・ドーシーは、在宅勤務を恒久化すると発表した。

2022年10月、マスクはツイッターを440億ドルで買収すると、すぐに人員を大量整理。昨年には社名をXに変更し、夜間に激しく点滅する巨大な「X」の看板を屋上に立てたことで、近隣の住民を動転させ、市とトラブルになった。

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