「推し」の素晴らしさをSNSで発信、何がいいのか 「ただの消費行動」にあらず 「推し」で広がる世界

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

他人に見せないメモや日記に書いた言葉が、あなたオリジナルのSNSの言葉につながるはずです。

あなただけの着眼点を持った言葉は、誰にも見せない場(自分でつくったメモや日記のことです)で生まれやすいのです。

ぜひ、自分オリジナルの言葉を探してみてください!

推しを語ることは、主体的に推しを楽しむこと

推しについて語ることは、結果的に自分について語ることになります。

なぜ、その推しを好きになったのか?

こんなに推しという存在をつくるのがブームになっている世の中で、その相手を、存在を、分野を、選んだのはなぜなのか?

なぜ、その推しを好きでい続けられるのか?

どんな体験があって、その推しに出会ったのか?

──それらを語ることは、推しの魅力を語るとともに、推しに恋した自分を語ることでもあるのです。

自分の好みを言語化することで、自分についての理解が深まる。

せっかく推しなんて貴重な存在に出会えたんですから、その人生を肯定するためにも、人生を語る言葉を持ってみましょうよ!

「推し」について語ることで、自分の人生も捨てたもんじゃないな、と思えてきます。私は、何度もそういう体験をしました。

たとえば、SNSを通して出会った友人と推しについて話しているとき、まさか共感してもらえると思ってもみなかった点を理解してもらえて感動したことがあります。

ブログに自分の好きな小説について書いて、予想以上に多くの人に読んでもらえて「自分が本当に感じていることを言葉にしたら、人に伝わるんだ!」と思えるようになりました。

あるいは、大好きな漫画の批評をネットに発表したことで、好きなものを好きって、もっと言っていいんだと自信をもらいました。

推しについて語ることで、自分で自分自身について語るよりももっと多くの、自分についての情報を得られるのです。

……と、こんなに推し語りを礼賛していますが、それでも結局推しってただの消費行動じゃん、って言われることもあります。

「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない (ディスカヴァー携書)
『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない (ディスカヴァー携書)』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

たしかに、ただ推しのゲームやライブや舞台の観客として──つまり消費者として楽しむだけなら、それで終わりかもしれません。

でも、自分から推しについて語ったり、推しについての文章を書いたりすることで、推しを主体的に楽しむことができるんですよ。

推しについて、提供側が想像しなかった魅力を楽しんでいることを発信できる。推しを通して、能動的に人生を楽しんでいるんだと言うことができる。

他人の言葉に惑わされず、自分自身の推しについて、たくさん言葉にしてみましょう! きっと、推しに出会えた人生について語ったあなたの言葉が、いつかあなた自身を楽しませる日がきます。

「ああ、こんなに好きな存在がいたんだなぁ」って懐かしく、嬉しく思う日がくるはずです。

三宅 香帆 文芸評論家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

みやけ かほ / Kaho Miyake

1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店(京都天狼院)元店長。2016年「京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。 ≪リーディング・ハイ≫」がハイパーバズを起こし、2016年の年間総合はてなブックマーク数ランキングで第2位となる。その卓越した選書センスと書評によって、本好きのSNSの間で大反響を呼んだ。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)、『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)、『女の子の謎を解く』(笠間書院)『それを読むたび思い出す』(青土社)など著書多数)。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事