所得だけではわからない沖縄の幸福度が高いワケ 消費性向が高く、幸福度も高い独自市場
沖縄県内には7125カ所(令和3年経済センサス)の飲食店がある。これは人口あたりに換算すると全国2位の水準です。一方で、ファミリーレストランの文化は本土ほど浸透していないといわれます。この背景に沖縄の食堂の存在の大きさがあるように感じます。
マーケティング戦略を構築する際には、さまざまな市場のなかから、どの市場を狙うか決めるターゲティングが重要な要素になります。例えば、シーブリーズは10~20代の女子高生の市場に狙いを定め、売り上げを大きく飛躍させたといわれます。本土企業が沖縄に進出する際にも、当然ながら本土で培ってきたノウハウを基にセグメンテーションしつつ市場を細分化し、複数のターゲットを想定しながらビジネス展開します。
しかし、沖縄のファストフード店は高齢者の利用も多く、牛丼チェーン店ではテーブル席にファミリーが腰かけ、コンビニエンスストアではフライドチキンやカフェレベルのコーヒーが売られています。これは、いずれも沖縄が先駆けです。最近では、沖縄てんぷらまで売られるようになり人気です。
沖縄でのターゲティングは足し算で
このように沖縄の消費シーンの特徴は大きく異なるのです。進出に成功している企業では、想定ターゲットを本土より拡大して、沖縄仕様にカスタマイズすることで課題をクリアしているようです。本土市場で想定している顧客より、かなり幅広く構える。絞るのではなく逆に足し算でターゲットを拡大していくわけです。
そして、ターゲットを絞りすぎてはいけないもうひとつの理由が、チャンプルー文化の存在。その代表格が食堂です。多様な文化が融合し成熟してきたのが沖縄社会。その象徴的な存在が沖縄の食堂です。豆腐チャンプルーにカレーライス、とんかつ定食に、麻婆豆腐、ミートソーススパゲティ。沖縄料理はもちろん、和食・洋食・中華、何でもござれで100種類を超えるメニューを誇る店も珍しくありません。そのカオス的な雰囲気が温かみや楽しみを演出し、純粋な本土仕様の飲食店とは人気面で一線を画しているわけです。
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